阿武隈 twitter版

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    甲板の修理が終わった

    12月27日 木曜 晴れ

     ようやく船にいける。途中だったFRP修復作業を仕上げたい。それでも、朝は疲労で行くか行かぬか迷った。家族の「船に行ったほうがいいと思うよ」というひと声に押されるように出かける。

     1400、上船。すぐに作業にかかる。重ねすぎて盛り上がってしまった部分をヤスリで削って平らにする。12ボルトの電動ドリルの先につけた回転ヤスリでも、時間をかければなんとかなった。通常の甲板部分なら、それほど神経を使わなくともいいが、スタンションの台座を載せる部分なので注意しなければならない。加えるに、スタンションの台座もちょっとゆがんでいるので、それに合わせられるように調整もしなければならない。結局、ならしながら途中途中でスタンションを載せ、がたつくところを確認しながらヤスリをかけていった。



    前回積層したFRPはカチカチに固まっていた



    ヤスリで平らにならす

     なんとか、我慢できるところまでヤスリをかけたら、塗装する。本来ならゲルコートで覆うところだが、ゲルコートは小分けで購入できない。船具店で相談したら「ちょっとした部分の修理なら車用の塗料でいい」とのことだったので、自宅近所のホームセンターでホンダ用のホワイトスプレー塗料を用意した。見た目を考えると、デッキと同色が好ましいが、「阿武隈」では修理した箇所が分かるように、やや色味を変えるようにしている。スプレーの説明書にあるように少しずつ吹きかけるが、甲板が傾斜しているせいかすぐに流れてしまう。ムラもできやすい。狭い範囲の塗装ならスプレーよりも濃い目の塗料(油性のスーパーガードあたりが最適か?)を刷毛で塗ったほうが作業性はいいのかもしれない。


    塗料が流れてどうしてもムラができてしまう

     塗料を乾かす合間にドリル刃を購入してくる(このときになって、手持ちのドリル刃のサイズがボルトより小さいことに気がついた)。ホームセンターを捜すが、意外なことに宮川港付近には大規模ホームセンターがなかった。ようやく見つけた“町の金物屋さん”で購入する。

     スタンションのボルト穴を6ミリのドリルで開ける。スタンション台座の底部にバスコークを塗りたくって載せ、ボルトにもバスコークを塗りたくって差し込む。甲板の裏側からナットを締めるが、このときすでに日が沈んでしまって手元が見えなくなっていた。ナット径は10ミリ。外側のナットはメガネレンチが使えない。スパナで締め付ける。手繰りで苦労したがなんとか終わった。1700。

     日が沈んでからだいぶ寒くなった。船室でストーブを焚きしばらくまどろむ。片づけをして日誌を書いて下船する。2000。


    見た目はともかく、スタンション基部の甲板修理はとりあえず完了した

     春からずっと懸案だった甲板の修理がようやくできた。ほんのわずかの部分の修理に過ぎず、仕上げもかなり雑だが、FRPを使って自分で船体を修理できたのは大きな収穫だった。「阿武隈」にしてもモトラにしても、2007年は修理の1年だったなあ。

    師走の週末

    12月8日-9日
    急きょ仕事が入って、窓のない会社のテストルームで過ごす。


    12月10日 1時16分16秒

    12月15日-16日
    いきなり仕事が入って、窓のない会社のテストルームで過ごす。


    12月16日 零時29分12秒


    12月17日 1時41分20秒

    12月22日-24日
    予定外の仕事が入って、窓のない会社のテストルームで過ごす。


    12月22日23時52分24秒

    ちょ、ちょっとおぉぉぉぉぉぉ。

    FRP作業に着手する

    12月2日 日曜 晴れ 

     1200、上船。ついにFRP作業に取り掛かる。スタンションを取り外して姿を現したデッキを検分すると、亀裂が入ったのではなく上層のFRPが剥離していることが分かった。剥離した部分を除去して穴あき修復と同じ手法で修理する。一部剥離したFRPをはがすために、スクレーパをタガネ代わりにしてゴムハンマーで打ちつけ、FRPを割った。


    スタンションを取り外す。デッキに亀裂が入ったと思っていたが、上層部分の剥離であることが分かった


    剥離したFRPをはがす。左側にあるはがれかかった部分は割って取り外した


     FRPを取り除いた跡をヤスリで整形する。船に搭載していた充電池式電動ドリルに円盤状の紙やすりを取り付けて作業する。船のロッカーに入れたまま3年ぶりに動かしたが、動作に問題はなかった。充電は船のバッテリーからDC-ACインバータを経由して行う。念のため、FRPの作業中は機関をかけておいた。駆動電圧12ボルトの電動ドリルでもFRPを削るパワーを持っていた。


    修復箇所をヤスリでならした。12ボルトの電動工具でもパワーは十分だった

     ノートの切れ端で型紙を作り、それに合わせてガラスマットをカッターで切り出す。この作業中に大量のガラス繊維が甲板に散乱する。養生をまったく施さずに作業を始めたので、この後始末に苦労することになる。思いのほかガラスマットは厚かった。始めに広い部分を切り出し、次にそのひとまわりずつ面積を減らして切り出す。5層分ほど切り出した後、2つあるボルト穴を埋めるガラスマットを先にカットして余った部分から切り出す。切り出したマットは先に使うものが上に来るように重ねて置いておく(最初の積層作業では、硬化時間が気になって、あわてて手当たり次第にマットを重ねてしまった)。


    ノートを破いて修復箇所にあてがい、型紙を作る

     ポリエステル樹脂をペットボトルで計量して500「ミリリットル」を器に移す。硬化剤の分量は、ポリエステル樹脂「キロ当たり」と重さで規定されているのに「かさ」で判断してしまった。そのまま、500「ぐらむ」に必要とされている4ccの硬化剤をポリエステル樹脂に加えた。

     FRP作業を説明する文章には、「硬化剤を入れたらすぐに固まり始めるから急げ」とよく書かれている。そのためか、最初の作業では、硬化剤を入れた後、だいぶあわてて作業を進めてしまった。しかし、寒かったこともあってか、硬化の進みは思っていたほど速くなかった。

     作業用のプレートにガラスマットを置き、刷毛を使ってポリエステル樹脂をガラスマットに染みこませ、甲板に積層していく。最初、積層用のローラーで脱泡したが、かえって泡だってしまうので、樹脂が固まってしまう前にマットをはがしてやり直す。2回目は、木のへらで泡を「押し出す」感じで脱泡したらうまくいった。ローラーを使うなら、スチール製の脱泡用ローラーを使うのがいいだろう。樹脂を含むと1層分が意外と厚くなった。用意したマットをすべて積層したら周囲より盛り上がってしまったほどだ。


    2回めの作業で何とかきれいに積層できた

     ここまでで、1600。スタンションの取り外しに時間をとられたが、FRP作業そのものは30分もかからずに終えた。あわてなければ、それほど難しい作業はない。積層するガラスマットの準備を整えておき、樹脂に加える硬化剤の分量を間違わなければ時間も手間もかからない。できるだけ広範囲に養生を施すこと。ガラスマットの切り出しは、袋の中で行うのもいいかもしれない。

     硬化剤を加えたポリエステル樹脂を扱った道具はペットボトルに分けたアセトンで洗う。ペットボトルにアセトンを入れても溶けるなどの問題はおきなかった。ただし、使っていた薄手のゴム手袋は穴が開いた。

     余ったポリエステル樹脂にアセトンを加えて溶かし、流れるようになったところで、ペットボトルに移そうとしたら、手元がくるって大量にこぼれてしまった。べとついて、それでいて、硬化することがないポリエステル樹脂とアセトンの混合溶液が後甲板一面に広がった。げげー。

     わずかに残ったアセトンをスワブに含ませて拭き掃除をするが、暗くてすべてふき取れたかどうか確認できない。

     デッキに散乱したガラス繊維の回収とデッキにこぼれた溶液の後始末で時間をとられて日没。硬化したあとの後処理は翌週に持ち越しとなった。

     1700、作業終了。1800、下船。

    11月の3連休は大阪と鎌倉で

    11月11日、11月18日の週末は仕事で動けず。11月23日も大阪で仕事。11月24日25日は“友、遠方より来る”で、鎌倉を散策した。25日はいい天気でよかった。北鎌倉から歩いて鎌倉にいたる。小町通りで人ごみにオボれる。



    大阪は日本橋にある喫茶店。ホットケーキ350円。セットで550円

    モトラのスピードメーターを修理する

     モトラの不調は続く。
     2007年の春先からスピードメーターの表示が安定しなくなった。正常な速度を表示したり反応しなくなったりという症状が繰り返される。前輪から異音がするようになって、最初ホイールベアリングの不調を疑ったが、スピードメーターケーブルのホイール側接続部が緩んでいるのを締めなおしてから音がしなくなり、どうも、スピードメーターギアのあたりに問題があるのではと考えるようになった。

     動く動かないを繰り返しているうちに、今度はスピードメーターから異音がするようになった、と思ったとたん、メーターの針がすごい勢いでぐるぐると回り、そして折れた。

     オークションでモトラの中古スピードメーターを調達して、針の折れたメーターと交換する。この段階では、メーター内部の歯車に問題が生じて正しく動作しなくなったかと思ったが、メーターを交換しても症状は改善されなかった。


    上が調達したスピードメーター。下が針がふっとんだスピードメーター。モトラ乗りのWebページをチェックすると、振動で針が折れるケースがほかにも確認された

     そこで、ホイール(正しくは、ホイールと対になっているフロントブレーキパネル)内部に組み込まれているスピードメーターギアに問題があるのかと考え、ブレーキパネルを分解したところ、内部が銀色のスラッジでいっぱいになっているのを確認した。スピードメーターギアもホイールの穴に差し込んで前輪の回転を伝える突起部分がつぶれていた



    つぶれていたスピードメーターギアの突起部分

     この突起とホイールのはめ込みが不完全で、前輪を組み上げたときにスピードメーターギアがつぶれ、そのまま走行して突起が削れたのかと推察し、つぶれた突起部分を整形して、再度、モトラに組み込んだが症状は改善されない。突起が削れて長さが足りないのかとも思い、今度は替えのスピードメーターギアを用意することにした。しかし、このパーツも欠品で新品は入手できない。代替策は、オークションでフロントブレーキパネルを入手しそこからスピードメーターギアを取り出すことになる。Yahooでは、パーツ業者がフロントブレーキパネルを出品しているが、リアブレーキパネルより点数が少なく、開始価格も高い。

     たまたま、R&Pのフロントホイールとブレーキパネルの中古セットが格安で出品されていた。モトラとR&Pのホイールは同じ形状をしている。モトラに流用できるだろうと落札したが、届いたR&Pのブレーキパネルから取り出したスピードメーターギアは、モトラのそれよりわずか薄い形状をしていた。モトラに組み込んだが、やはり症状は改善されない。

     もう一度フロントのブレーキパネルを分解して、元のパーツを組み込んで、手で回して見る。すると、ときどき歯車がかみ合ってガッチリと固まってしまう。と、ここで、モトラに組み込まれていたスピードメーターギアの形状がおかしいことに気がついた。正常なスピードメーターギアの歯車はタイコの胴のように中央が膨らんだ形をしているが、取り出したスピードメーターギアは臼のように真ん中がへこんでいる。

     さらに、つぶれた突起を直したときに撮影した画像といまのスピードメーターギアを比較すると歯車のブレードの太さがぜんぜん違う。おおお、分かった。以前見たスラッジは突起が削れたのではなく、歯車のブレードが削れた跡だったのだ。げげー。

     何かの拍子でギアがかみ合って動かなくなり、ケーブル接続側の歯車によって、スピードメーターギアのブレードが削られてしまったのだろう。



    左が今まで使ってきたスピードメーターギア。右が今回調達したスピードメーターギア

     ここで、もう1つ、今度はホイール側でおかしなことに気がついた。ホイール側には、スピードメーターギアの突起が差し込まれる穴があけられているが、その穴の開いている円周部分に溝ができている。

     ということは、

    (イ)スピードメーターギアの歯車部分のブレードが削れてしまった。(ロ)ブレードが削れてかみ合わせに不都合が生じてスピードメーターギアの回転がロックした。(ハ)スピードメーターギアの突起部分がホイール側の差しこみ穴から飛び出して、つぶれながらもホイール部分を溝のように削ってしまった。(ニ)突起がつぶれ、差しこみ穴がけずれてしまっため、スピードメーターギアの引っ掛かりが弱くなって回ったり回らなかったりするようになった。

    というあたりがスピードメーター不調の原因のようだ。
     原因が分かっても解決にはならない。スピードメーターの表示を回復させようとすると、フロントホイールの交換が必要になる(スピードメーターギアの突起差込口が必要なので、リアホイールは流用できないので注意)。このパーツも欠品で新品が入手できない。中古を調達することになるが、車輪の回転に直接影響するパーツなので状態の悪いものは使えない。オークションでもなかなか出品されないフロントホイールだが、ちょうどタイミングよく、オークションで程度のよさそうなホイールとフロントブレーキパネルのセットが個人から安く出品されたので落札した。

     届いたホイールとそこから取り出したスピードメーターギアを、自分のモトラのパーツとそれぞれ見比べると、消耗の度合いがよく分かる。


    左が今まで使ってきたホイール。右が調達した中古ホイール




    上が今まで使ってきたホイール。下が調達した中古ホイール。上のホイールで差しこみ穴のある円周部分がU字状に彫れているのが分かる

     ホイールを交換して、スピードメーターギアを移植して(フロントブレーキパネルは、ブレーキシューを交換したばかりなので、今までのものを使う)フロントホイールと組み合わせる。この状態で、ブレーキパネルにスピードメーターケーブルを差し込み(スピードメーターからケーブルを外しておく)、前輪を回して(モトラでは、メインスタンドを使っていればフロントタイヤが浮く)、スピードメーター側のケーブルが回っているかをチェックする。回っていれば、スピードメーターケーブルは、フロントホイールに正しく組み込まれていることになる。


    スピードメーターケーブルを差し込んで動作をチェックする

     メーターケーブルが動作することを確認して、ケーブルをスピードメーターと接続して作業は終了した。10キロ程度試走したが、スピードメーターの表示は安定し、オドメーターも正しい距離だけ回った。

     春先のフロントホイールからの異音から始まって、スピードメーターの表示、チェーンの伸び、エンジンの抱き付き、マフラーの破損と、しばらく続いたモトラの不具合も、これでひと通り修理が完了した。修理費用(主にパーツの調達費)は、見ためがよれよれの中古モトラをもう一台購入できるぐらいかかってしまったが、走っているときの感触はとても快適になった。

    モトラのマフラーを取り替える

     モトラのエンジンが復活した最初のMMF行き走行で、マフラーが折れた。家族から「ネタのために折ったの?」と疑われるぐらい、たて続けてモトラは壊れた。


    折れてしまった純正マフラー


    こんな感じでエキパイ付け根が折れた

     モトラの純正マフラーは欠品で、もはや入手できない。モトラは、大型のメインスタンドを備えており、汎用のマフラーを取り付けるとメインスタンドを収納した状態でエキゾーストパイプと干渉してしまう。そのため、モトラに取り付けられるマフラーの種類は限られる。

    選択肢その1:メインスタンドのステーを切断、もしくは移設、または、メインスタンドを撤去して、汎用のマフラーを取り付ける。

     この場合、同排気量のカブなど、流用できるマフラーの種類は増える。その半面、モトラの特徴的なデザインであるメインスタンドをあきらめることになる。また、ステーを切断すると強度が弱くなるので、これもモトラの特徴である、重量貨物の積載時にメインスタンドの強度が問題になる。

     なお、ステーを移設する場合は、溶接ができる技量と道具をそろえるか、そういう作業に対応できる業者に依頼しなければならない。

    選択肢その2:モトラ純正マフラーのリプロダクト品を調達する。

     種類は少ないものの、リプロダクトマフラーが存在する。現在入手できるのは以下の2種類。

    1.バイクショップ「NEUTRAL」が製作しているモトラ用ノーマルマフラー

    2.個人がYahooオークションに出品している純正と同形のステンレスマフラー

    選択肢3:中古の純正マフラーをオークションで落札する。

     数は少ないものの、モトラのマフラーがオークションに出品される。多くの場合、穴あきか、穴を溶接で埋めた状態で、ごくまれに、見た目にきれいなマフラーが登場する。ただし、そういう上物は、9000円から1万円をはるかに超える価格で落札される。

     このほか、スタイルは純正と異なるが、メインスタンドを装備したまま取り付けられるマフラーが、2種類ほど確認されている。

     私は、個人が製作しているリプロダクトステンレスマフラーを購入した。このマフラーの製作者はモトラやモトコンポなどのリプロダクトパーツを積極的にYahooオークションに出品しており、その種類と品質には定評がある。小は6ボルト対応のバルブセットや燃料バルブのコック(小さいとはいえ、純正に近いリプロ品を自ら起こしている)から、大は、消耗品なのに純正が入手できないドライブスプロケットまで用意されている。


    上が純正マフラー、下がリプロダクトマフラー

     届いたマフラーは、頑丈なつくりで溶接部分も十分な厚みを持っていた。マフラーの脱着作業は簡単で、エキパイ取り付け部の2箇所とマフラーステーの1箇所、そして、マフラーカバーの2箇所のボルトを外すだけで済む。商品の説明では、モトラの個体差や完成時期の違いなどで、キックペダルやブレーキペダルとの干渉が発生する可能性があるとされていたが、私のモトラでは、なにも手を加えずとも干渉は起きなかった。

     30分もかからずに作業が終了して試走する。アイドル時回転は安定。低速走行時のトルク十分。加速も順調。高速走行は時速「やを」キロをマーク、したような気がした。


    交換作業は簡単にできた


    キックペダルと干渉せず


    メインスタンドのステーとも干渉せず

     オークションの開始価格は2万6000円、希望落札価格は3万円と、中古の純正マフラーや、汎用マフラーと比べると高いが、ステンレス製の新品マフラーということで長く使えるし、最大の問題であったメインスタンドと共存できるメリットは大きい。個人製作ということで心配するかもしれない仕上がりや品質についても、自分が入手したマフラーでは何も不安を感じなかった。溶接の盛りやパイプやタイコの質感は、純正より強固に見えたほどだ。

     代替マフラーに苦慮しているモトラユーザーの悩みは、このマフラーでほぼ解決する。唯一の問題は、入手がオークションに限られるため購入できる機会や数が限られているのと、個人に依存しているマフラーなので、これから先もずっと購入できる保証がないということだろう。


    タイコの合わせ目にたっぷりと盛られた溶接。タイコ表面のモールドや細かい形状も純正とそろえている


    エキパイ付け根付近も頑丈で溶接もしっかりしている。仕上がりに不安はない

    7カ月ぶりの帆走

    11月4日 日曜 晴れ 北東の風、風力3(阿武隈独自基準

     上船は1330。FRP作業を行うべきなのだろうが、北東の風が適度に吹いている。どうにもこうにも我慢できず出航した。1400。ヘッドセールにレギュラージブ、メインセールはフルで上げる。風が弱いので、雑誌で読んだ「船の行き足を止めて、アビーム気味に風を受けながらメインセールを上げる」を試したが、セールが重くてあがらない。

     生まれて初めてディンギーに乗ったときに、行き足をなくした状態から、セールを引き込んでスルスルとすべるように走り出す感触が気持ちよくて、それまで興味のなかったセーリングにのめりこんでいく、出発点のようなそんな感触をセーリングクルーザーでも感じたいと思ったのだが、うまくいかなかった。

     いつものように機関を使って風に向かい、メインセールを上げる。艤装でミスをして、ジブシートがシュラウドの内側に入ってしまった。こちらは帆走しながら直す。実に、7カ月ぶりの帆走だ。風をひろうため、沖出ししてから東に向かう。風はそれほど強くなく、ヒールは20度に及ばない。

     1530、剣崎灯台の南まで達して反転。港に向かう。1630、帰港。ソーセージコース一本を走っただけだが、たいへん気持ちがよかった。

     解装して1730。ひと休みして1800下船。

    缶ビールが破裂した

    10月21日 日曜 晴れ

     ようやく、本当にようやく整備が成ったモトラで港に向かう。エンジンは、抱き付き前のように調子よく回ってくれる、と快調に走っていたら、いきなり爆音が炸裂した。モトラを停めてチェックしたらマフラーがエキパイ付け根から折れていた。このマフラーも欠品。さらに、流用パーツもなし。モトラ乗りの多くは、さびて折れたマフラーの代替品調達に苦労している。


    伊豆大島が見える。もうすぐ冬が来る


    宮川湾の水も透明度が増してきた

     1400、上船。ミニバーにあった缶ビールのフタがめくれて開いていた。どうやら“発酵”して破裂した模様。この船を購入したときから積んであった酒類をすべて処分する。キャビンが酒の匂いで満ちる。

    1700、下船。

    10月28日は仕事で休めず。代休も取れず。

    「空気入れ」でトラブル。港にいけず。

    10月14日 日曜 晴れ
     久々に復活したモトラで港に行こう。でも、修理を終えてホンダウイングから家まで試走したときに感じた後輪の「グニュグニュ」感が気になったので、出発前にタイヤに空気を入れようとした。しかし、なぜか空気が入らない。以前、パンクを修理したときに、空気入れバルブを左側にセットしてしまったため、空気入れバルブとスプロケットが干渉してしまい、それで空気が入らないのかと考え、急きょ、後輪を外しすことにした。
     結局、空気入れの「空気圧ケージ」から空気が漏れていたのが原因で、そこを手で押さえながら、なんとか後輪に空気を入れることができた。しかし、面倒な後輪の脱着で時間がかかってしまったので、港に行くことができなかった。
     手間のかかる後輪を外したので、先日ようやく見つけた「チェーンアジャスター」も組み込む。

    モトラのエンジンが復活した

     ホンダウイングにお願いして1週間後に修理が終わった。抱きついたピストンを見せてもらったが、ざっくりという溝状の傷はないものの、側面一面に擦り傷がついていた。


    これが抱き付きを起こしたピストン

     お願いしていたのは腰上修理だったが、長いこと懸案になっていたギアペダルシャフトとブレーキペダルシャフトのオイルシールも交換してくれていた(ここからエンジンオイルが漏れていたことが、抱き付きを起こしたそもそもの原因だ)。こういうところに気がついてくれるショップは信頼できる。

     ホンダウイングの請求額は当初見積もっていた2万円もしなかった。パーツ実費(ほとんどがガスケットとシール代)を含めても3万円かかっていない。とはいえ、ピストンとシリンダーケースを調達するのに中古エンジン2つ必要だったのは想定していなかった。結局、抱き付きの修理に6万円強かかったことになる。

     ショップから家まで数分走った感触は、以前より加速が力強くなったように思えた。ずっと上り坂だったからかもしれないが。

    モトラの中古エンジンから“また”ピストンを取り出す

     抱き付きを起こしたモトラのエンジンを復活させるため、中古エンジンからピストンとシリンダーを調達することにしたが、最初にオークションで落札したエンジンは、貴重なフロントスプロケットが健在だったものの、肝心のピストンは傷だらけだった。

     やむを得ず、再度中古エンジンをオークションで調達することにした。前回と同じ、2万円台の「実働」エンジンを候補に上げたが、念のため、出品している業者に「ピストン傷の有無」、「抱き付き歴の有無」、「圧縮圧」などを質問したところ「確認していない」との返事だった。

     今度入手する中古エンジンのピストンが無傷であるとは限らない。予算が限られているので、スタート価格が高いオークションに入札するわけにもいかない。とはいえ、オークションで出品されていたモンキーRのピストンを移植するのは不安だ。

     結局、業者が「確認していない」と答えたエンジンを落札した。キャブレターとブレーキペダル、キックペダルがついて2万円というのは、モトラの中古エンジンオークション価格としては安い。それだけ、痛んだエンジンと出品者は評価したということだろうか。

     落札したエンジンは、「紙」で「包装」された状態で送られてきた。包装紙には防水コーティングが施されていたが、破れたところからオイルが漏れてしまい、業者が包装丸ごとビニール袋にいれて持ってきた。前回の中古エンジンのときと同様に、「中を開けずに荷物に異常がないか確認してくれ」と対応した家族に要求したらしいが、今回は、そのまま受け取ることにした。

     エンジンカバーやシリンダーケース、シリンダーヘッドのカバーはだいぶ痛んでいた。フロントスプロケットは歯が消耗して鋭くとがっていただけでなく、オイルと泥で埋没していた。前回入手したエンジンとは逆で、とことん使い込まれていたのかもしれない。


    今度の中古エンジンは包装されてやってきた



    フロントスプロケットの歯は鋭くとがっていた

     と、ささやかな希望を胸に抱いて分解に取り掛かる。前回と同じ方法になるので作業は捗った。固くしまってたクランクシャフトの点検窓を開けるのに少してこずったが、ここは、小径の薄いスパナをドライバー代わりに使うことで解決した。前回、なかなか外れなかったシリンダーヘッドとシリンダーケースのガスケットも、ゴムハンマーで叩くだけでガゴンと取れた。

     今回の作業で大変だったのは、ピストンピンの取り外しだった。ドライヤーで温めると膨張率の違いで簡単にピンが外せるそうだが、このときは、個人のバイク整備ブログで紹介されていた、径がちょうど合うソケットドライバーをあててゴムハンマーを使って叩き出す方法でしのいだ。


    こんな感じで点検窓を開いた



    こんな感じでピストンピンを外した

     姿を見せたピストンは、すすで黒かったけれど、表面に傷はない。これなら使える。取り出したピストンとシリンダーケースを箱に入れ、モトラで煙をはきながら近所のホンダウイングに走った。修理は数日で済むとのことだった。


    取り出したピストン。側面が黒くこげているが傷はない。しかし、なんというか、やっぱり小さい

    モトラの中古エンジンからピストンを取り出す

     2万円で落札したモトラの中古エンジンが届いた。困ったことに、中からオイルが漏れて梱包のダンボールに染み出して、業者がビニールで覆った状態でやってきた。宅配業者は「荷物に異常がないことを開封しないで確認してくれ」と、とても難しい要求してきたが、透視スキルを持たない私は中身を確認するためにダンボールを開けた。中には、モトラの中古エンジンが緩衝材に包まれることなく、むき出しのままごろりと入っていた。

     同じ価格帯で出品されていたなかで、外見が一番きれいなものを落札したつもりだったが、それでも、表面はは一面にうっすらと白い粉をふいたような感じで痛んでいた。メーカー欠品なのに流用できるモデルがなく、使えなくなったら代わりの入手が困難といわれている貴重な貴重な消耗パーツ「ドライブスプロケット」が、ほとんど磨り減っていない状態で組み込まれていたのは幸いだった。


    表面に粉を拭いたようなシリンダーヘッド



    ドライブスプロケットがほぼ完全な状態で組み込まれていた

     しかし、よくよく考えれば、それほど使い込んでいないエンジンが単体で売りに出ていたことになる。何かしら問題が起こってエンジンだけが厄介払いされた可能性がある。その一方で判断を迷わせるのが、「使い込んで見ためがよれよれの、でも、走りはしっかりしているモトラは、オークションで車体単位で出品するより、ばらしてパーツごとに出品したほうがトータルの利益が多い」という最近のモトラ相場事情だ。この場合、問題がなくてもエンジン単体で流通することになる(こういう合理的な経済思考で貴重な実働モトラが次々と姿を消しているというのは、まことに惜しい)。

     と、一抹の不安を抱えながら、腰上げを分解してピストンとシリンダーを取り出す作業を始める。経験者に語らせると、腰上の分解作業はエンジン整備のうちでは簡単な部類に入るというが、「初めて扱うの車/バイクがこのモトラ」の私にとって、エンジンそのものが触れてはならない「聖域」に等しい。とはいえ、最悪ピストンとシリンダーが取り出せさえすれば、何か手違いがあってふたたびエンジンが動かなくなってもいいわけで、気は楽だ。サービスマニュアルの説明に沿ってシリンダーヘッドのサイドカバーを取り外し、カムスプロケットを外す。

     ガスケットで固着した左サイドカバーと外すときは、右サイドカバーのフランジボルトを少し外す。外して飛び出してきたボルトの頭をゴムハンマーで軽くたたくと、その衝撃で左サイドカバーが「パコン」と外れる。カムスプロケットを取り外すときは、クランクシャフトを回して、スプロケットに刻印されたマークと合わせ溝を一致させる。クランクシャフトには、左クランクケースカバーにある30ミリキャップ(トップにマイナスねじのようなモールドがあるフタ)を開けるとアクセス可能。

     上記2点は、サービスマニュアルを読んでも、やり方がイメージしにくかった箇所だ。それから、シリンダーヘッドを固定しているボルトとシリンダーを固定している10ミリボルトには、メガネレンチやソケットレンチが入らないことも作業をして初めて気がついた。ここは、スパナでないと手が出せない。




    クランクシャフトにはこのキャップの窓からアクセスする。カムスプロケットの位置を合わせたら、クランクシャフトを固定してスプロケットを取り外す。固定にはソケットレンチを使うが、私はペンチで代用した

     シリンダーヘッドもシリンダーもガスケットが固着してなかなか外れなかった。ゴムハンマーでコツコツたたいて外すのが常道らしいが、どうにもこうにも外れない。やむを得ず、小さいマイナスドライバをクサビのように打ち込んで、ゴムハンマーで軽くたたくことにする。岩が割れるようにシリンダーヘッドがガゴッと外れた。メタルのガスケットとトップピン、Oリング、ゴムパッキンを取り外して、シリンダーケースにも同じようにクサビを打ち込こんだら、ガコッと外れた。


    シリンダーヘッドを外した時点で、すでに、あわわわ、つ、ついにエンジンを分解したぁぁぁっ、と恐れおののいている


    シリンダーを外す。単気筒エンジンのピストンが「チョコン」という感じで姿を現した

     やっとピストンが姿を現した。モトラのエンジン本体に比べてすごく小さい。こんな小さい部品が、モトラと私を合わせて「ひゃくうんじゅっキロ」の重さを時速70キロと“勘違い”してしまうような勢いで往復120キロにも及ぶ都合4時間も移動するパワーを生み出しているとは、信じがたい。「あんな鉄の化け物が空を飛ぶなんて信じられるかい」という明治生まれのような感想を抱きつつ、ピストンの状態を確認してみるとっ。


    ぐああああああああ、傷だらけ

     側面の一面に縦スジが入っていた。溝のようにざっくりと深い傷も2本ほど入っている。とてもじゃないが、これは使えない。始動はしても高回転は無理だろう。買って早々にエンジンをだめにして放置、それを引き取った業者がパーツごとにバラ売りにしたのだろう。

     貴重なフロントスプロケットがまともな状態で手に入ったし、腰上分解の方法も学べたし、と無理やり自分を納得させて、再度、中古のモトラエンジンをオークションで物色することにした。

    モトラの中古エンジンを物色する

     だいぶ前の話になるが、抱きつきを起こしたモトラのエンジン修理について、お盆休み前にホンダウイングと相談した。そのとき、ガスケット、ピストンリングはショップで調達してもらい、ホンダで欠品となっているピストンとシリンダーはこちらで準備することになった。

     モトラのエンジンはカブファミリーなので、モンキーあたりからいくらでも流用できそうに考えていたが、どうも、そういうわけにはいかないとショップのスタッフは言っていた。Webでいろいろ調べて見たが、実際にモンキーのピストンをモトラに流用したというケーススタディが出てこない。ボアアップキットの適合を見る限り、12ボルト4.5psのモンキーRと共有できそうな感じだが、両者のピストンを画像で比較してみると、横長のモトラピストンに対して、モンキーRのピストンは、ほぼ正方の断面を持つように思えた。

     そういうわけで、オークションで純正のモトラエンジンを入手して、そこからピストンとシリンダーを取り出すことにする。オークションにはモトラのエンジン単体がいくつか出品されているが、上は4万円半ばから下は1万円半ばと幅がある。どれも「実働エンジン」となっているが、始動したあとアイドリングは安定しているのか、高回転は問題ないのか、ギアチェンジはスムーズなのかの説明がない。抱きついたエンジンでも始動するのは自分のモトラで分かっている。試しに、出品している業者に、ピストンとシリンダーは無傷なのか、過去に抱き付き歴があるのか聞いて見たところ「そこまで確認してない」という回答だった。

     こちらとしては、始動しなくても、アイドルが安定していなくても、クラッチがおかしくても、ピストンとシリンダーさえまともならそれでいいのだが、そういうことを確認して教えてくれる業者はいなかった。

     そういうわけで、最も安い2万円に設定されているいくつかのエンジンから「一番キレイにみえる」ものを落札することにした。


    2万円で落札したモトラのエンジンがやってきた。腰上げの解体整備は簡単な部類に入るとバイク整備の経験者はいうが、「初めてのバイクがモトラ」の私には触れてはならない聖域に等しい

    疲労困憊で港にもいけず。

     9月最後の週末は港にいけなかった。10月の3連休に伊豆諸島方面の巡航を計画していたので、デッキのFRP作業や食糧の調達などやらなければならないことがたくさんあったが、肉体疲労に負けた。

     続く週の水曜日には代休をとったが、そのときも“静養”で終わった。ギリギリ3連休の初日に修理と食糧の搭載作業を行い日曜月曜と航海に出ようかとも考えたが、初日に疲労で動けず断念。そのまま、3連休は家で過ごすことになった。

     航海準備をあたふたと進めてあわただしく出航しても、ろくなことにならないので、これでよかったと思おう。

    船で仕事を片付ける

    9月23日 日曜 晴れ

     この3連休を狙っていたように仕事が入った。どうせやらねばならぬなら、船で仕事をしよう。土曜日のうちに、必要な測定を済ませ、その結果をノートPCに移して船に持ち込んだ。1200、上船。船に乗る前に、まるよし食堂でラーメンを食べる。きょうは麺、スープ、ともに按配がよかった。

     往復4時間も無駄な時間をかけるぐらいなら、機材や環境が整っている家で仕事をすればいいというのは、合理的な考えだが、船に行くと出港せずともストレスが抑えられて、次の日から細かいことに腹を立てることなく暮らすことができる。それにもまして、船という非日常な場所で日常の雑事を片付けるという行為そのものが、もうそれだけで、なにかしら面白いイベントになってしまう。

     過去に何度か巡航中に仕事を持ち込んだことがあった。そうすることで、長期の休みが取れる。土日と休んで月曜に仕事、そして火曜日に有給をとって水曜日の明け方に帰港してそのまま出社すれば、航海に使える日程としては5連休に相当する。これなら東京湾にヨットを係留する「勤め人」でも伊豆諸島を巡航できる。伊豆諸島なら、新島と式根島で来島者が自由にPCを使える場所を用意している。ヨットで旅する面白さは自由人だけのものではない。

     上船して1時間ばかり昼寝をしてしまったりと、それほど熱心に仕事をしたわけではないが、なんとか、一本片付けることができた。いったん仕事に取り掛かると、TVもないしネットもつながらないしと、横道にそれることがなかったので、意外と効率よく仕事が進んだ。

     1700、下船。歩いて20分でバス停に着き、バスが来るまで30分待ち、渋滞の中、30分かかって三崎口に着いた。

    船に泊って舵を直す

    9月16日 晴れ

     2000、上船。まだプロパンが補充できていないので夕食はほか弁にした。食事が終わったら甲板で茶を飲みながら満天の星を見る。

     2200、就寝。風が寒くて何度か目を覚ます。0200、ハッチを閉じる。久しぶりに船で泊った。


    たしかにほか弁はおいしくて便利でこれで事は足りるけど、船なんだから、やっぱりギャレーで作って食べたい

    9月17日 晴れ、朝のうち、時々雨。南西の風15メートル(剣崎灯台観測値)

     0700、起床。レーズンパンとポテトサラダの朝食。0800、SILVERWAVES(リベッチオ)とSeaWalker II(ヤマハ 26)が相次いで出港。


    SILVERWAVES 出港

     きょうこそFRP作業を行うつもりで準備を始める。スタンションを取り外そうとレンチを手にしたとたん、晴れていた空に黒い雲が押し寄せてにわか雨が強く降る。晴れる、降るの繰り返しが0900まで続く。


    いきなり雨が強く降ってきた


    いきなり晴れた


    また降ってきた


    雨の中、SeaWalker IIが帰港した


    また晴れてきた

     FRPの作業をあきらめて、晴れ間に舵のガタツキを修理する。舵柄と舵軸の取り付け金具を取り外すと、ボルトを通す穴が電食を起こして崩れていた。一部にはクラックも入っている。何らかの対策が必要。


    舵柄を取り外す


    舵柄の取り付け金具が電蝕を起こしていた


    プラスチックのカバーを外す。この状態までなら舵は落ちない

     舵柄ががたつく原因になっている取り付け金具と舵軸トップの隙間にゴムシートを挿入する。取り付け金具の内側に細く切ったゴムシートを両面テープで貼り付け、そのまま金具を舵軸トップにはめ込んだ。ガタツキは収まったが、ゴムシートが厚すぎたようで舵柄の角度を変えるのが困難になった。もう少し薄手のゴムシートが適しているようだ。


    帯状にゴムシートを切り、ジェル状の両面テープで金具の内側に固定する

     昼過ぎあたりから港でイワシが大漁。タモ網ですくっても取れるほどだ。私は釣りに参加しないで、次々とイワシをさばいている作業を見物していた。うろこをはがして、頭の後ろから包丁を入れて背骨を一気に裁つが、頭を全部は切り落とさない。背骨を裁ったらそこで包丁を止めて、頭と内蔵を一緒に抜き取る。新鮮なイワシならこういうことができるそうだ。

     イワシは50匹も釣れただろうか。そのうちの16匹を貰い受けた。ライフラインで干す。


    ライフラインにイワシを干す。風が強いのと日差しが強いのとで、半日で十分水気がなくなった

     「阿武隈」の正面に係留している「みらい」(SK25)の船長にFRP作業で質問する。ポリエステル樹脂の代わりにエポキシ樹脂を使うと強度が増すとアドバイスを受ける。あわせて、FRPは毛細現象で水を吸うから上から塗装すべきとのアドバイスも。船に塗料が残っていなかったので、結局きょうはFRP作業ができなかった。

     「みらい」船長と話しているときに、「スループジョンB」(ヤマハ マイレディ 25)の船長と“再会”した。この人がいなかったら、私は船を始めることができなかったと思うほどに、とてもお世話になったかただが、“船長”としてお会いするのはその日が初めてだった。普段は平日にMMFへ来ているそうで、だから、いままで顔を会わせることがなかったのか。

     お盆休みに伊豆諸島方面へ巡航に出た「OFF」(ソレイユルボン)の船長に伊豆諸島の海況を聞く。黒潮が北上していて伊豆大島から先は、まったく進めないらしい。エンジンを回しても2ノットぐらいしか出なかったそうだ。

     南の風がどんどん上がってくる。大型フェンダーに溜まった海水を抜き取る。1500、まるよし食堂で昼飯。きょうのラーメンはスープがちょうどいい味加減だった。麺はちょっと固かったが、私の好みでおいしかった。

     夕方、阿武隈の斜め前に係留しているパワーボート「VAYAGEIII」の船長家族とクルーがイワシを釣っていた。VAYAGEIIIの船長は諸磯の京急マリーナにもヨットを係留していたが、その船を売却して、新しい船を捜しているそうだ。鳥羽パールレースや相模湾を横断する外洋ロングレースの経験が多く、それに耐えうる船を捜しているといっていた。もし良かった一緒に出ましょうどう、と誘っていただいた。

     1600ごろ、SILVERWAVEが帰ってきた。風がだいぶ上がってきていたのでちょっと心配していた。でも、ベテランの船長だけあって、「帆走にちょうどいい風。波をだいぶかぶったけれど」だったそうだ。

     残っていた2リットルペットボトルを1本開けた。残り1本。ライフラインに干していたイワシを回収。1700下船。

     きょうは、たくさんの人と会話をした。