阿武隈 twitter版

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    早春の夕暮れに帆走する

    3月21日土曜 晴れ 南南東の風 風力5から6(阿武隈独自基準)

    1140自宅出発。三浦海岸駅を出発する剱埼経由のバスに時間を合わせたつもりだったのに、平日の時刻表を見ていたことに京急に乗ってから気が付く。三浦海岸で降りて食事をしながらバスを待つか、三崎口で降りて一刻も早く上船するか。迷って迷って後者を選ぶ。三崎口駅のバス乗り場は長蛇の列。道路は渋滞。駅前で食事をして城ヶ島行きバスを待つ長い列を飛び越して1345バスに乗る。1415栄町バス停につく。

    1415阿武隈上船。予報通り南風が上がってきた。艤装は30分もかからずにできたが、そのほかの準備に手間取る。1545出港。南南東の風が吹き付けている。前回着岸に失敗した風だ。右隣のSILVER WAVES IIにぶつからないよう、後進一杯で抜け出す。港の出口に南からのうねりが押しよせて「阿武隈」が進まない。機関を回して突き進む。

    1600セイルアップ。ジブセイルとワンポイントリーフを入れたメインセイルの組み合わせを選ぶ。「阿武隈」がゆれて、ラフのリーフリングがグーズネックのフックにかからない。ようやくメインセイルをあげてジブセイルもあげる。

    右舷開きのクローズホールドで南東に進んでいたら定置網のブイにかかりそうになる。南西に向かおうとタックを打ったら操船ミス。「阿武隈」が時計回りに一回転したらジブセイルがフォアステーに絡み付いてしまった。いかーん、こんな強風ではフォアステーに負荷がかかって最悪切れてしまう。しかし、うねりと風に翻弄されて「阿武隈」が思うように動いてくれない。なんとか、反時計回りに一回転して絡んだジブセイルを元に戻し、帆走を再開する。この処理に15分かかった。

    城ヶ島を越えるまではタックタックで南に進む。スプレーをずいぶんと浴びた。南東に進むと3〜4ノット。南西に進むと6〜7ノット。西に流れる海流のせいか、日が当たって藻の発育がすこぶるよろしい左舷船底のせいか。ぼんやりとだが大島が見える。太陽は傾いてあたりは夕暮れの準備に入っている。



    城ヶ島を越えたら西に進む。「阿武隈」を左舷開きのクローズリーチで進める。大分楽になった。

    1720反転。きょうの日没は1753。きのうは春分の日だった。クローズリーチで東に進み、MMFを越した辺りでジャイブジャイブのクォーターリーで北上する。MMF前の海域がうねっていて、セイルダウンと着岸準備をどうしようかと思ったが、なんとかその場でこなす。1820帰港。


    着岸で(たぶん)「Deneb」の船長に支援していただく。前回の失敗を繰り返さずにすんだ。

    今回のように左舷前方(進入する桟橋から押し戻され離される方向)から風が吹くときは、デッドスローで速度を維持したまま、浅い角度で斜めに 突入 し、ぶつかる寸前に後進一杯で減速する。桟橋に降りたらすかさず、ミジップの係船索をクリートにかけ、次いで風上側のバウラインとアフトラインをかける。今回はこれでなんとかなった。流されてほかの船にぶつけるより、自分の船を桟橋にぶつけるほうがいい(桟橋から離される強風条件でもピタリと係留できるのがベストなのだが)。

    きょうは「阿武隈」に泊まる。明日の朝、状況によっては出港するつもりなので、セイルはそのまま。ただ、帰港してから風がかなり吹いてきたので、固縛を厳重に行う。

    パックご飯を温めようとしたら鍋に入らない。嗚呼、パックご飯が入る唯一の鍋は海に沈んでしまったのだ。やむをえず、味の濃そうなインスタント赤だし味噌汁の倍量スープにバックご飯を投入、そこに中国生産のレトルト水煮根菜加えてかさ増しした雑炊を作った。うっ、意外と味が濃くて腹にたまる。

    夜になって、風はますます強くなってきた。ところどころに雲があるがおおむね晴れている。オリオンが西に傾いている。もうすぐ冬が終わる。2200消灯予定。

    晴れた港でインドアモード

    3月16日 月曜
    晴れ 南南西の風 風速12メートル(剣埼灯台観測値)

    1030自宅出発 1230MMF到着。駐車場受付棟でハーバーマスターと会う。夕方風が吹き上がる予報だったので相談。出港を見合わせる。疲れがまだたまっている。

    阿武隈上船。ミジップの係船索が切れていた。切断してほつれた部分をカットしてセージングしてから、係船索をはりなおす。いままでミジップの係船索はハリヤードウインチからジブシートウインチへ渡していたが、これをジブシートリーダーからジブシートウインチにかけるようにした。トゥーレールと当たる部分には靴下を輪切りにしたすれ止めを雑索で巻く。


    3週間動かしていないので、“ヒゲ”も生えてきた


    ミジップの係船索が切れていた


    張りなおしてすれ止めも巻く

    ノートPCで調べものをしながらキャビンで過ごす。港のなかは至って静かだったが、1400から風が急に上がってきた。その風も1500に一旦落ち着く。

    「OFF」の船長と会う。風が上がる14時前に帰港したそうだが、それでも、2ポイントリーフと4分の3だけ出したジブシートの組み合わせで5ノット出たらしい。



    南の風だが海で冷やされるのか寒い。何をするわけでもなく、PSPでずっとアメフトのゲームをやる。いい試合で満足する。

    1645下船。また風が上がってきた。

    ハンブルクのマリーナ?に行った

     3月最初の土曜日にドイツから帰国する。ハンブルクに滞在したが、朝の7時にICEでハノーバーに向かい、夜の23時をだいぶ過ぎたあたりにICEでハンブルクに戻ってくる毎日だったので、歴史のある、そしてドイツ最大の港湾都市というこの街のことは家電量販店の「SATURN」以外に何も知らない(ハノーバーは中央駅にあるフードコードとスーパーマーケットだけ知っている)。

     それでも、帰国する土曜日の朝に1時間だけ自由にできる時間を作れた。さて、どこに行くか。港湾地域とその周辺にあるというマリンショップは朝早すぎてやっていないだろう。できればハンブルクのマリーナを見たい。いつもは、何も知らないままにうろうろと街を歩くが、今回は事前に調べてから出かけることにした、といっても、それを調べるはずだった金曜日の夜は、連日の睡眠不足がたたって、部屋に着くなりコートを着たまま寝入ってしまった。出発する日の朝に目覚めてから、荷造りをあわてて終わらせて、それから、ほんのわずかの時間で調べることになってしまった。

     Googleでワード検索をしても、それらしい情報は出てこない。GoogleMapの航空写真で外アルスター湖の周辺を探してみると、浮き桟橋らしきものがいくつかある。港湾エリアでは、エルベ川を西に下った空港(国際空港とは別)の東隣に大規模なマリーナがあった。そのままルート検索で宿泊している中央駅エリアからそれぞれのマリーナまでの経路を調べると、外アルスター湖にある一番近いマリーナまで歩いて10分、港湾エリアにあるマリーナまでは距離にして約30キロ、車で30分とでてきた。GoogleMapの路線検索やHVVのWebページにあるバス路線図をチェックしたが、港湾エリアのマリーナに1時間で往復するのは不可能だ。外アルスター湖にあるマリーナを見にいこう。

     名所史跡をしらないまま、ハンブルクの旧市内を歩いた。住宅地は郊外にあって旧市内にはほとんど人は住んでいないと聞いていたが、それでも、ローカルのコンビニや学校(跡地か?)があって普通の生活を感じることができる。そういうところに、いきなり教会がにゅっ、と建っていて驚いたりする。

     もっと歩くかと思ったら、ほどなく外アルスター湖に着いた。ハンブルクの有名な観光名所なので、「外があるなら内もあるの?」という疑問は、個人のBlogや旅行情報Webサイトでいくらでも調べられる。ハンブルクに半年滞在していた「YeeHaw」のTKさんによると、外アルスター湖は冬季に氷が張るという。しかし、2009年のハンブルクは地元の人が「暑い暑い」とふぅふぅするほどに暖かく、湖は折からの風に吹かれて波立っていた。

     中央駅からさほど離れていないところにあった浮き桟橋は、クラブハウスを併設した規模がごく小さいものだったが、デイセイラーが水上に係留され、ガフにクラブ旗を掲げた本格的なマストが立っているなど、小さいなりに威厳のあるマリーナ(クラブハウス?)だった。

     ジョギングにいそしむ人たちと一緒に遊歩道を歩いたのち、ホテルに戻ってチェックアウト。ハンブルク中央駅から空港に向かうバスに乗り、現地時間の11時にハンブルクを離陸。フランクフルトで乗り換えて、日本に向かう機内でこの文章を書いている。日本に着くのは日曜の朝。



    外アルスター湖で街の中心部に近いところにあった浮き桟橋。ハンブルク帆走クラブという意味だろうか


    隣接してローボートのクラブハウスもあった。設立年がとにかく古い


    そのクラブハウスの前に、年代ものの木製アウトリガーカヌーとセイリングクルーザーの船首部分が放置されていた。ひょっとしてオブジェとしてレイアウトされていたのかも


    外アルスター湖で街の中心部に最も近いところにあった浮き桟橋。デイセイラーが水上係留されている

    ドイツで“セイリングシム”を物色する

     3月最初の週末から所要でドイツのハンブルクにいる。例によって宿舎と調べ物の往復だけで毎日が終わる生活で、ドイツ最大の港湾都市といわれるハンブルクのことはまったく分からないままだが、それでも、家電量販店「SATURN」を1時間ほど見てまわる時間を作ることができた。

     日本で「ゲーム」というと、プレイステーションやWii、Xboxなどのコンシューマーゲーム専用機を指すが、欧州ではPCゲームが依然として主流だったりする。ハンブルクのSATURNで見たゲームソフト売り場も、コンシューマーゲーム専用機対応ソフトのすべてをあわせた広さとPCゲームの広さはほぼ同じだった。

     欧米では、コンシューマー専用ゲーム機は子供が遊び、PCゲームは大人が遊ぶという棲み分けがあるそうで、PCゲームにはリアリティが高いものが多い。その傾向が特に著しいのが“シミュレータ”だ(シミュレーションゲームではないことに注意)。

     日本でも、飛行機や鉄道を題材にした製品が知られているが、ドイツで販売されているシミュレータの種類は非常に多岐にわたっている。特に充実していたのは鉄道シムで、ICEやDBの有名車両から街を走るUバーンの路面電車まで、アドオンも含めてたくさんのパッケージが用意されている。「働くくるま」を題材にしたシミュレータも数が多い。工事現場の大型特殊車両から港湾で使われるコンテナクレーンまで、かなりマニアックなテーマを扱っている。

     船舶関係のシミュレータでは、日本でも「Ship Simulator」や「Virtual Skipper」が知られているが、ドイツでは、それ以外にもShip Simulatorのアドオンパッケージや、第32回アメリカズカップを再現するレガッタシミュレーション、セーリングクルーザーやパワーボートの操船に特化したシミュレータなどなど、店頭に並んでいるパッケージの数では「働くくるま」に負けていない。

     船舶系のシミュレーションで1つのカテゴリーが成り立って、街の量販店で買えてしまうあたり、欧州では、舟遊びが普通の人に普通に親しまれているということなんだろうなっ。



    Virtual Skipperと“SEA”MULATOR。日本でも知られているViretual Skippperはレガッタシミュレーションゲームといえるが、SEAMULATORはシミュレータに分類される。日本でも知られている「Ship Simulator」と違ってセイリングクルーザーとパワーボートに特化したパッケージなのがすごい




    第32回アメリカズカップを再現するレガッタシミュレーションゲーム。実在したシンジケートやスキッパーが登場する特定のアメリカズカップで遊ぶ動機は、「2008年のペナントレースで広島カープを優勝させてやるぜ」という気持ちに近い



    オーシャンレースを扱ったSegeln 2007。クルージングシムのような感じもするが、ドイツ語が分からないのでなんともはや



    こちらのクインメリーIIシミュレータはレリーフが施された豪華な缶入りだ




    「働くくるま」シミュレータ。タモリ倶楽部的な嗜好がある人には興味をかきたてられるはず。実際、クレーンシムは日本でも入手できた