阿武隈 twitter版

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    帆走で「いず」と「あこがれ」を追う

    8月21日 日曜 曇り後雨 北北東の風 風力5(阿武隈独自基準)

    1100、三崎口駅到着。雨は上がっていた。油壺造船所には津久井浜から連絡を入れて迎えをお願いする。迎えが来るまでに食料と飲料を用意しておけばよかった。迎えの軽トラックで造船所に向かう。

    船台に上がっている阿武隈のスクリューを確認する。2011年はペラクリンを使った。そのまま機走でMMFに戻ろうかと思っていたら北からいい風が吹いてきた。中村さんに聞くと「待っています」との返事がいただけたので、船台の上で艤装をする。艤装を終えて合図を送って海に下ろす。機関を始動して油壺湾からでる。そのまま西に進んで定置網より沖のでたところで船を北に向けて ジブとフルメインの組み合わせでセイルを上げる。実に3カ月ぶりの帆走だ。

    募ってきた北北東の風を右舷後方から受けて南西ブイを目指す。北東の風なのに波は高い。天候は曇り。雲は厚い。南西ブイをぐるりと回って東に向かう。波高く速度は思ったほど上がらない。それなのに、ウェザーヘルムが強く、舵を引く手に力が掛かる。久しぶりの帆走で腕の力が衰えたか。間切るたびに引くジブシートも十分に引き込めず、ウインチのハンドルも回せない。北北東の風を受けて間切って間切って進み、予想していた時間を大幅に超えてようやく MMFまで戻ってきた。

    あとひとつ間切れば最終針路に乗る、というタイミングで南西方向に巡視船が見えた。後甲板がフラットなのでヘリ搭載タイプだ。MarineTrafficでAISを確認したら「いず」が針路東で航行中であることが分かった。これは近づいてみておきたい。南下すればまだ間に合う。

    航跡を逆に戻って「いず」に接近する、と思ったら東から貨物船が迫ってきた。これを避けたら近づく前に「いず」は遥か東に遠ざかってしまう。といって、貨物船を避けないわけにはいかない。南に下った20分を無駄にして、余計な20分をかけて元の最終針路への変針点に戻る。

    と、今度は相模湾からやたらと背の高い、細長い三角形のような船が近づいてきた。ヨットにしてはマストが太い。ん?ひょっとして、と思ってMarineTrafficのAISをみると、おお、帆船「あこがれ」ではないか。これも近づいて、できることなら"帽ふれ"を交わしてみたい。

    またまた、いまきた航跡を戻って「あこがれ」に接近する。距離を置いて「あこがれ」の左舷を行き交う針路を取る。近づくにつれて、細長い三角形に見える正面からマストが3本に分かれ、きれいな正横の姿を鑑賞できた。そこで反転して「あこがれ」と並航しようとした、まさにそのとき、今度は遊漁船が割り込んできた。またしても、よけなければならない。回避して針路を東にむけたとき、「あこがれ」は遥か先を航行していた。

    また、無駄になった30分と、余計な30分をかけて最終針路の変針点へと戻る。途中激しい雨が降った。日も射さず、風も強いので合羽を着ないで長袖のラッシュガード一枚の体は冷えてしまうかと思ったが、意外と寒さを感じなかった。

    1730、雨が上がりつつある中、帰港。運良く雨がやんだタイミングで解装。1830,下船。

    今年も油壺造船所に回航する

    8月20日 土曜 天気曇り

    スクリューの整備をすべく、油壺造船所に連絡する。ちょうど週末に船台が空くので、土曜日に上げて日曜日に下ろすことになった。整備はスクリューとシャフト、亜鉛の交換のみ。船底塗装は上げて状態が悪かったら行うことにする。

    土曜日は風が穏やかで、機走で回航するのにちょうどいい海だった。1100に上船してそのまま艤装もせずに出港して、ゆっくり油壺に向かおうかと思ったら、なんだかんだと出港が遅れて、MMFを出れたのは1230を回っていた。あわてても、速度がでない。結局1330に油壺造船所に到着した。船を上げて船底を確認する。キール、ラダー含めてまったく汚れていない。5月6月7月と出港できなかったので、これは意外だった。ただ、スクリューとシャフトは、貝が付いてでこぼこだ。

    結局、スクリューとシャフトの整備をお願いして、1400下船。中村さんに三崎口まで軽トラで送っていただく。ありがとうございました。

    G'zOne Commandoで遊んだ

    港にこもる船内で、「G'zOne Commando」を試す。防水と耐衝撃性を備えて画面も明るいなど、ハードウェアだけで評価すると、小型帆船で使うのに最も適した小型情報端末だ。

    しかし、標準で用意するアプリは、これまでのG'zOneシリーズと同じ、格好だけを追求した「自然は都会にありて思うもの」という都会的なアウトドアユーザーを喜ばすだけの出来だ。アウトドアギアとしてのG'zOneの進化は、W42CAで止まっている。その後に出てきたものは「なんちゃってアウトドアギア」にすぎない、っと、たまたま猛烈に不機嫌な私は書き殴ってしまう。

    幸い、G'zOne CommandoはAndroidデバイスになったおかげで、自分でアプリを導入して「航海機器に特化したG'zOne」にカスタマイズできる。「阿武隈」にとって、日本で販売しているキャリアが伊豆諸島で一番使えないauというのが致命的だが、これも、デバイス側が無線LANに対応したおかげで「どうにでも」なる。

    というわけで、「NAVIONICS」「MarineTraffic」「BC Racer」「WindFinder」「Smart Compass」「携帯潮汐」 「Morse Decoder」 「Wyse PocketCloud RDP/VNC」などなどを導入したG'zOne Commandoは、最強のハンディナビゲーションギアになった。こうなると、もはや10万円超のプロッタ機能付き高機能GPSレシーバをあえて購入する理由を見いだすのは非常に難しい。

    「スマートフォンてなに? いままでの携帯電話で十分じゃない」という意見をよく聞くが、自分でアプリを導入することで携帯電話に標準で付属するアプリ以上の性能を可能できるのは、スマートフォンの強みだ。

    「iPhoneがあればほかのスマートフォンに存在意義はない」というユーザーも多いが、G'zOne Commandoのように、ある目的に特化したハードウェアを選択できる自由があるのは、Androidデバイスのアドバンテージだ(GoogleのMotorola買収でこの先どうなるか不透明になったが)。

    なお、eBayとかで海外から買い付けるとSIMロックフリーモデルが、この円高でなぁんと3万5000円! なんて話は、auの縛りつき一括7万円で購入する遵法意識が高い日本人に関係のない情報だったりする。

    スクリュー不調で出港断念

    8月14日 日曜 晴れ 南西の風強く

    1230、MMF到着。台風6号のために施した荒天準備を解除して、艤装が終わったところで立ちくらみがした。寝不足に加えて朝から何も食べていなかった。まるよしで昼食をとる。夏の混雑で時間がかかった。

    1500、ようやく出港。後進をかけて桟橋から船体を出している最中に、船が「ぬ」っと入ってきた。出船優先は関係ないらしい。後進から前進に切り替えて入ってきた船を避けたものの、船脚がなくなった瞬間に折からの強風に船が流される。

    船をやり過ごして再度出港する。機関の回転に比して速度が上がらない。港の入り口で高さを増してきた波に阻まれる。この先風が上がってきて。船が制御できなくなると思い反転、帰港する。3カ月ぶりの航海はわずか10分で終わった。

    解装してキャビンで一休みする。フォクスルにいると南の風が涼しくて心地よい。1730、下船。夏の港は見たくないものが多くてざわついてストレスがたまるなあ、と思ったりする。油壺造船所に船を上げてスクリューだけきれいにしたいと連絡する。