阿武隈 twitter版

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    式根島巡航(復路)

    8月25日火曜 晴れ 北東の風 風力5

    0400起床。風は北東に変わっている。満潮と干潮のちょうど真ん中で岸壁が高い。昨晩満潮時にすべてのモヤイをループにして、船から上がらなくても離岸できるようにしておいてよかった。風がちょうど船首方向から吹いている。離岸前にメインセイルをあげてしまう。右肩が辛い。

    0500出港。港内でジブセイルもアップ。港を出ると同時に帆走を始める。きっかりと北東の風がしっかりと吹いている。波が甲板を洗う。早島を過ぎてそのまま東に1時間進んで北上、利島正横でまた東へ1時間、また北上、竜王埼で東に間切り1時間、そして北上。


    今年も長い帆走で帰ることになった。利島の東端を狙って北上する



    青い海の向こうに青く染まった大島が見える。その背後には淡い青空が広がる。夏の海だなあ

    大島をかわすころに風が東に回り、右舷開きでも針路30度と直接三浦半島を狙えるようになった。2008年伊豆諸島巡航の復路も同じだったなあ。北上時はアベレージ6ノット半ばも出たのに東進時は3ノットに落ちる。東から西に流れる潮の流れに苦労したのも2008年と同じだ。

    MMF手前4海里で日没。灯火をつけるが両舷灯がだめ。マスト灯をつける。安房埼の岩礁にまた突っ込みそうになった。これで2回目。入港針路と背景の関係をもう一度確認すること。


    結局、2009年も相模湾の真ん中で日没を迎えた

    2000、帰港。野伏からMMFの全航程を帆走。右肩は舵をとることはできたが、ウインチを巻くことはできなかった。最後は舵も握れないほどにしびれてしまった。右肩をカバーした左腕も痛い(阿武隈はオートパイロットが壊れているので、帆走中は自分で舵を引かなければならない)。

    セイルをまとめ、モヤイを固め、家族に連絡して、あとは食事もせずに寝てしまった。

    式根島滞在


    8月24日月曜 雨のち晴れ

    係留場所のシフトに対応するため0400起床。0500、係留場所を「にしき2」の後ろにずらす。雨強し。一時キャビンで待機、していたら寝てしまった。

    0700、雨上がる。テンダーを出してきのうテトラポットにおいてきたもやいを回収する。テトラポットに飛び移ったらテトラとテトラの間に挟まって動きがとれなくなった。危うかった。

    そのままテンダーで遊んでいたかったが、きのう痛めた肩がいよいよひどくなって船に上がる。これもひと苦労した。

    0900、テンダーを収納する辺りから晴れてきた。天幕を張り、濡れた衣類を乾かす。にしき2で新島に行く家族連れと出会う。会話が弾み、式根島に戻る夕方、阿武隈に招待する。

    潮が引いて岸壁がいよいよ高く、肩を痛めたこともあって上陸できない。投げ縄の要領でボラードにもやいをかけ、そのエンドにモヤイ結びを2連でこさえて縄ばしごにする。なんとか上陸できた。

    そのまま、式根本道を歩き30分で島の反対にある海岸まで歩いた。島をあちこちと歩き回り、「阿武隈」に戻る。連日のレトルトと缶詰に飽きて、帰る途中にスーパーでソテー用の分厚い豚肉を2枚も買ってしまう。塩をふって寝かせておく。

    昼前にあった家族連れが来船。楽しい時間を過ごせた。一緒に式根島に寄港している「ノーザンライト」のみなさんには温泉に誘ってもらった。明日の準備が忙しく一緒にいけなかったが、今回の式根島は入港で苦労したものの、いい出会いがたくさんあった。

    豚肉の塩漬け焼きを食べながら、夕焼けに染まる新島を眺める。1900、菊水旅館でひさびさの入浴。生き返った。

    あしたは早い。日の出とともに出港するのもあるが、漁師さんによると北東の風が強くなって悪い波が入ってくるかもしれないとのこと。新島本港で懲りているので、その警戒のためもあって、早く起きる必要があるかもしれない。すでに阿武隈が大きく揺さぶられている。

    2030、まもなく消灯。明日の起床は(とりあえず)0330の予定。右肩は相変わらず使えない。

    式根島巡航(往路)



    8月23日 日曜 晴れ 北東の風 風力3 のち 南西の風 風力6(阿武隈独自基準)

    0330起床、0430出港。北西の風を受けてクォーターリーで帆走。0800、風弱く機帆走開始。5ノット後半から6ノットと思いのほかはかどる。エンジンを使うと計画通りに行くが、それでいいの? と複雑な気分。途中、イルカ3頭を見る。


    1400、鵜渡根右舷正横。前方に新島のシロママが見える。予定では鵜渡根と新島の水道を西に進んで若郷に入るつもりだったが、まだ14時。新島の西岸を進んでシロママを眺めてから野伏に入ろう。

    新島にかかる辺りから西の風が募ってきた。ジブを揚げると風が収まる。ジブを下ろすと風が募る。今度の風は収まらなかった。そればかりかどんどん上がってくる。どわー、最後の最後で面倒なことになった。ジブをあげてメインはワンポイントリーフ。早島を正横に見てタック。そのまま野伏沖まで進む。

    早島を交わしてしばらくは頭から波を被るようなコンディションだったが、新島と式根島の水道を進むうちに波も風も収まってきた。ジブを下ろしアンカーとバウのもやいをセットし、メインを下ろして野伏港に入る。

    前に入港したのは2003年のことで、そのときは港のテトラポットに槍着けした。今回もそのつもりで、アンカーを落とし、テトラに近づいていった。

    が、港のなかは強烈な南西の風が吹きまくり、阿武隈が流されてきれいな槍つけにできない。テトラポットに乗り移ってもやいを巻き付けようとしたが、こちらもどうにも動きがとれない。船に戻ってアンカーをいくら引いても阿武隈は風に流されて横を向いてしまう。これは困った。

    疲労困憊で途方にくれていると、地元の漁師さんが、南西の風が強いからテトラは無理、岸壁に泊めろと指示してくれた。給油用の岸壁だが明日の朝にシフトするなら泊めていいとのこと。ありがたく使わせていただく。

    2003年に入港したときはテトラに槍付けしてテンダーで上陸した。この経験が自分にとってひとつの自信になっていたのだが、今回の失態は、(大袈裟のようだが)その自信の根拠が失われたというが、なんというか、とにかく「がっくり」とくる出来事だった。

    テトラに乗り移るときに右肩を痛めた。力が入らない。湿布を張る。明日の朝は0500にシフトする可能性があるので起床は0400。2100、消灯。

    港で休養

    8月22日土曜 晴れ 南西の風10メートル(剱埼灯台観測値)

    起きたら1000。ぐあー、だいぶ疲れていたんだなー。出港せず港で過ごす。朝食はパックご飯にレトルトの親子丼をあえて炒める。

    デッキシューズを洗い乾かす。管理棟に予定変更を申告。おすそわけのスイカとチーズケーキとマカロニをみんなでいただく。

    油壺造船のお兄さんに舵のブレを相談。舵軸を押さえているパッキングが磨耗しているとのこと。シリンダーヘッドの冷却水水路のつまりについても相談。ばらしたあとで必ずしなければならないバルブのすり合わせや、つまった水路の塩の除去は専門職でないと対応不可能とのこと。自分でやりたいならシリンダーヘッドのアセンブリを交換することになるそうだ。

    伊豆諸島、相模湾の主な灯台の灯質をX02HTに入力。Pathawayに明日の航路をセット。海図のW51の鉛筆書き込みを消して、明日の航路を書き入れる。明日は相模湾で風が弱いものの、伊豆大島を越える辺りから西風がふく見込み。ホワイトボードに明日のウェイポイントと針路を記入する。

    甲板に天幕を張って昼寝と読書。

    1800、夕食はパックご飯に焼き鳥缶詰を加えて炒める。

    消灯は2000の予定。起床予定は0300。

    巡航前夜

    8月21日金曜 曇り 南の風強く

    2220、上船。 食事。甲板は風が通って涼しい。船内は意外と蒸し暑い。半袖半ズボンの防暑服。

    ホワイトボードに天象時刻と出港チェックリストを転記。電話とカメラのバッテリーを充電。艤装は明日の朝に行う。

    明日出港するかしないか。目的港はどこにするのか。出港時間は何時にするのか。まだ決めかねている。

    2320、消灯。

    食料と衣類を補充する

    8月16日 日曜 晴れ 北東の風7メートル

    1230MMF到着 まるよしで昼食。ほどよい風が吹いているが、きょうは食料と衣類を補充して数量を確認する。パックご飯と荒天食が不足。次回までに調達すること。衣類は化繊アンダー下が不足。化繊長袖アンダーもできればもう2〜3枚ほしいところ。こちらも次回までに調達。

    「OFF」の船長に、三浦漁港(神津島)の外防波堤内側岸壁に係留できたと聞く。東海汽船のジェットフォイルが係留する岸壁の脇にプレジャーボートも係留できるようだ。ただし、岸壁は高く、防舷材も大きいので小型艇の係留は注意が必要とのこと。

    その後は、後甲板に天幕を張ってコックピットでごろごろと過ごす。夏の海はにぎやかだ。

    エンジンを動かして挙動をチェック。エンジンは問題ないが、スクリューを回したときに舵の振動が激しい。実際に船を動かして確認したいところだが本日は時間切れ。次回必ず確認すること。

    1715、下船。

    無風の港で船を乾かす

    8月9日 晴れのち曇り、一時豪雨。風弱く

    1000、三浦海岸駅着。岬巡りのバスが出るまで駅前の喫茶店で時間を潰す。先日友人と初めて入って店内の雰囲気が好きになった。

    1130、MMF到着。風がない。風車もまったく動かない。1週間かけて三宅島、神津島、大島を巡ってきた「OFF」と「SnowLight」がまもなく帰港するとハーバーマスターに聞く。

     風がないので出港はせず、湿ったクッションや寝袋、オイルスキンを干す。ボンクのふたを開けて中も乾かす。日差しが強いので天幕を張りたいところだが、虫干しを優先して我慢。並べ終わったところでまるよしで昼食。船に戻り、海辺で遊ぶ人たちの歓声を聞きながらうたた寝。

     昼過ぎに、まず「SnowLight」が、やや遅れて「OFF」が帰港した。三宅島で5日間停滞したという。それだけを聞くと、うらやましく思うが、当事者は「いつになったら海況が安定して出港できるのかが分からない」という、先が見えない不安を感じたそうだ。2隻の船長は、どちらも黒く焼け、体は痩せ、髭は伸び、凄みのある風貌になって戻ってきた。

     1600、虫干ししていたクッションに寝袋、オイルスキンを収納する。熱中症になったのか胸が苦しい。清水タンクの水を沸かして紅茶を飲んでも足りず、食料庫にあった蜜柑缶を開ける。

     1700、下船。港内放送で台風が発生したことを知る。雑索でブームを固定する。宮川町のバス停で待っていたら、Princess Bay IIの船長に車で三浦海岸駅まで送ってもらえた。ありがとうございます。とても助かりました。車の中で、Princess Bay IIはブームを下ろして甲板に固定したと聞く。しまった、「阿武隈」もそうすべきだった。いまごろ気付いても間に合わず。

     送ってもらって浮いたバス賃で、またまた喫茶店でコーヒーを飲む。ぐぇ、ちょっと飲みすぎたかな?

    足をひねって陸で過ごす

    8月2日 日曜 曇りのち豪雨

     週の始めに右足首を捻った。なぜか、この部分の取り付け角度が内側にシフトしているらしく、普通に歩いていても時たま捻ってしまう。捻り具合が悪くて骨折したこともある。

    今回も激しく捻って、2日間ばかりまともに歩くことができなかったが、湿布を貼っておとなしくしていたら、週の後半はなんとか歩けるようになった。しかし、まだ重くて痛い。この週末は大事をとって陸で過ごす。

     こんな感じで、足首に捻りぐせがついているので、船に乗っている最中に「ぐぎぃ」とやってしまう可能性が高い。心配になって以前調べておいた阿武隈に備蓄している医薬品リストを確認してみた。

    阿武隈救急セット

    テーピング1巻
    滅菌ガーゼ2パット+10メートル
    包帯1巻
    湿布4包
    カットバン
    オロナイン
    消毒スプレー

    バッファリン22錠
    葛根湯24錠+2包
    総合感冒薬
    酔い止め7錠

    虫刺され(ウナコーワ)
    防虫スプレー
    蚊取り線香
    来船者用歯ブラシ2包
    ひげそり1包

    補充が必要なもの
    防水パット
    三角巾
    爪切り

    切り傷に擦り傷、やけど、打撲、発熱、風邪は対応可能。意外と重要なのが防虫対策で、こちらは、蚊取り線香とかゆみ止め、防虫スプレーで十分だ。

    いまの備えでは、患部を固定するものがないので、骨折や脱臼、捻挫に対応できない。突き指はテーピングでなんとかなるか。整形外科で使っている、濡らすと固まるギブスって一般には入手できないのかな。痛み止めや化膿止めに使える抗生物質もほしい。処方せんなしで入手できるのだろか。

    一週間近い巡航になると爪切りもほしくなる。

    そういえば、キャビンのインテリアや食べ物、電装品やエンジンについては色々と議論されているが、一週間程度の巡航を想定した医薬品に関する考察を読んだことがない。巡航志向というほかの船はどんな医薬品と衛生備品をどれだけ準備しているのだろうか。