阿武隈 twitter版

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    夏の三浦半島西岸を帆走する

    8月29日 日曜 晴れ 南西の風 風力4ないし5(阿武独自基準)

    1130「阿武隈」上船、1225出港。スクリューがいよいよダメ。付着物がついて推進力が出ないのにプロペラ反流はしっかりかかる。後進で船を出すときに船尾が振られてぶつかりそうになる。


    MMFを出てすぐにセイルを揚げる。ジブとフルメインの組み合わせ。日差しは強いが空には巻雲がたなびく。春から夏にかけてもやに隠れる大島も積雲を背負ってくっきりと見える。秋の空気に入れ替わろうとしている。

    南西の風がしっかり吹いているが、南西から押し寄せる波もしっかりしていてスピードが思うように出ない。波に揺さぶられながら西に向かう。

    きょうは8月最後の日曜だ。夏といえば湘南、ということで、普段はいかない三浦半島西岸を行けるところまで北上する。

    1430に小網代の紅白ブイを東に見る。うーん、そろそろ戻るべき頃合いだが、もう少し先に進みたい。1500に佐島沖に到達して反転。戻りの帆走はクローズホールド。右舷開きで南東に向かうとぐんぐん進むが、左舷開きで南西に向かうとじりじりと進まない。波のせいか、潮のせいか、マストのチューニングがあっていないせいか。

    安房埼灯台の岩礁をかわし、港入り口東側に広がる定置網を避け、ジブを降ろしもやいとフェンダーをセットし、エンジンをかけてメインを降ろして1730に帰港。派手すぎる夕焼けで港のすべてが橙色に染まるなかを解装。

    30分足を伸ばした結果、帰港が予定よりきっかり1時間遅れた。三崎口に向かう道路は城ヶ島大橋から混んでいるのが海からも見え、三浦海岸に向かうバスは19時までない。家族と約束した時間より帰るのが遅くなる。いかんなー、こりゃ怒られるわい、と帰宅途中の京急快特で書いている。

    戦いすんで日は暮れて

    8月21日 土曜 晴れ 南の風 風力3(阿武隈独自基準)

    たぶん、日本で初めてと思われる“ヨット同士による戦い”となった保田沖海戦が終わった。勝者の「SIESTA」の後に続いて敗者の「阿武隈」は保田漁港を目指す。それは、帆船時代の海戦で拿捕された戦列艦の姿に似てなくもない。しかし、勝者は敗者に優しかった。港内は東京湾レースの参加艇でごった返しているのに、レーススタッフは、敗者の「阿武隈」にも親切ていねいに係留場所を誘導してくれた。係留場所は、「風雅」「SIESTA」に連なる外側。

    実を言うと、ほかの船に横着けするのが久しぶりな「阿武隈」は、かなり緊張しつつ、「SIESTA」に“接岸”、「風雅」と「SIESTA」という、大先輩の支援と指示を受けて、1400に係留作業を終えた。

    本当ならば、「SIESTA」のメンバーと戦いを終えた祝杯を挙げたいところだったが、日帰りの「阿武隈」は、一足先に番屋で食事をすることにした。「SIESTA」「風雅」とあいさつしながらゲストともに下船。ほんっっっっとに久しぶりに番屋を訪れたが、いつの間にか、食事をする建屋が増えていて、ほとんど待つことなく、入港手続きをしている間に席に通された。ゲストとともに、“鯵のなめろう”や“朝獲寿司”で1時間ほど食事。今回、「阿武隈」で戦ってくれたゲストは「“海戦ごっこ”のあとは安くておいしい海鮮!」といって勧誘していたので、なんとか約束を果たすことができた。その後は各自で自由行動。1630に「風雅」「SIESTA」のメンバーの見送りを受けて保田漁港を出港する。

    帰りの航海は、南の風がほどよく吹いていた。ゼノアとフルメインでアビームという絶好の条件で帆走する。行く手の空は茜に染まり、黄金色の空と海の中を夕焼けに向かって航行する。その左側には一番星の金星がギラリと光り、振り返るとまもなく望を迎える月が輝きを増している。

    東京湾を横断して剣埼灯台を正横に見る頃合になると、前方で日が沈み、背後から夜空が追いかけてくる。月の輝きで海面には銀色の道ができていた。「ここで、剣埼灯台が点灯したら最高なんだけどね」とゲストに話していた直後、なんと、目の前で剣埼灯台が光りだした。白、白、緑という特徴ある灯質をゲストに見せることできた。なんというか、「これって出来すぎ」と思ってしまうほどに、最高な夏の帆走だった。

    が、やっぱり私はヒーローになれなかった。
    ゲストの1人が「なんか丸い物が繋がって浮かんでいますよ」と行く手を指差した。のあーっ!三崎港東海域名物「南に出っ張った定置網」じゃー!

    ゲストの手前、平然と、しかし、内心は飛び上がらんばかりに動揺しつつ、(前甲板にゲストがいるにもかかわらず)急転舵してタック。定置網をかわして再度タック。なんとか、無事にMMFの港入り口まで到達した。

    後は、係船索をセットして風上に船を立ててヘッドセイルとメインセイルをおろす。

    が!「なんか、また丸い物が浮いていますよ」

    予想以上に船のスピードが出ていて、MMF港口東側に広がる定置網に突っ込みそうになった。セイルを降ろしているから、もう帆走できない。急いで機関中立。行き足が残っているうちに針路反転。なんとか、無事にブイをかわしてMMFに向かう。機走でスピードが出ない。4ノット程度。スクリューの付着物がかなり増えたか。巡航前に船を上げないとだめか。1930にMMF帰港。

    帰宅するゲストを見送った後、疲労困憊でそのまま寝てしまった。南の風がどんどん上がったせいか、蚊がぜんぜんいなかったのに、船内が暑くてよく眠れず。翌日、時間をかけて、休み休み、ゆっくりのったりと船を解装。1200に下船。管理棟でしばし雑談。「Starting Over」のメンバーに車でYRP野比まで送っていただいた。疲れきっていたので、本当に助かりました。ありがとうございました。

    保田沖海戦3~「阿武隈」苦戦す

    8月21日 土曜 晴れ 南の風 風力2(阿武隈独自基準)


    (twitterが発端の「海戦ごっこ」が保田沖で勃発! 湾マリ水軍「SIESTA」と三浦水軍「阿武隈」は、ついに砲門を開いた!風上をとられた「阿武隈」に勝機はあるのか?)

    お互いがすれ違って、いったん砲撃が止む。「阿武隈」は風上を取るべくを船を回すが相変わらず風に立たない。そのままノタノタと直進する。だが、「SIESTA」はすれ違った直後にすばやくタックを返し、「阿武隈」の風上側から追い抜きざまに撃ってくる。「阿武隈」も反撃するが風下で水流が「SIESTA」に届かない。

    すばやくタックして阿武隈の左舷後方から迫る「SIESTA」
    くっそー、敵ながら、かっこいいぜ
    水鉄砲の射程は6~8メートル。しかし、風の影響を受けるため……
    風下の船が有効弾を叩き込むには、これぐらい接近しなければならない

    「ヒェー、冷たいぃぃぃっ」

    「SIESTA」は、氷で冷やした水を水鉄砲に装填していた。「キンキンに冷やした水流で敵を飛び上がらせよう」という魂胆だったらしいが、暑い中、微風の東京湾を横断してきた寝不足気味の「阿武隈」乗員は「冷たくてきもちえええええ」とかえって喜んでいたのは不幸中の幸い。

    戦いは、風上を奪えない「阿武隈」が軽快に舞う「SIESTA」に翻弄されまくる一方的な展開になった。マストヘッドリグでメインセイルが小さいためスピードが出ず、風にも立てない「阿武隈」の帆走能力以上に、ミート直後に機敏に操船できない船長兼操舵手(それは私)の未熟さが敗因であるのは、「ヨットが初めて」という「阿武隈」のゲストにも明らかだった。


    航過後すぐに回頭動作にかかる「SIESTA」と。漫然と進む「阿武隈」との違いは、帆走性能以上に勝敗に影響した

    戦いも中盤を過ぎると、動きのとれない「阿武隈」に同情したのか、「SIESTA」は風下から接近してきた。


    激しく砲撃を交わす「SIESTA」と「阿武隈」

    一方的だが激しい海戦は約10分続いた。事前に決めていた戦闘終了時間だ。「SIESTA」から、「ここまでにしよう」と声かががる。戦いは「阿武隈」の惨敗。圧勝した「SIESTA」は「阿武隈」を先導して保田漁港に入港した。

    保田沖海戦2~「阿武隈」奮戦す

    8月21日 土曜 晴れ 南の風 風力2(阿武隈独自基準)

    (twitterが発端の「海戦ごっこ」が保田沖で勃発! 湾マリ水軍「SIESTA」と三浦水軍「阿武隈」は、敵の奇襲を警戒しつつ、じりじりと射程距離に近づいていった。撃つか!撃たれるか!)

    「いまにも撃ってくるかも!」と緊張が最高潮に達したときっ、「SIESTA」の全員が手を振ってきた。こちらも手を振って応える。

    終始「紳士的」だった「SIESTA」

     「すぐにいいぃ!始めますかあああぁぁぁっ!」「次にいいぃぃぃ!ミートするタイミングでえええぇぇ!始めましょおおおおおぉぉぉ!」

    ということで、両艦はそのまますれ違い離れていく。「阿武隈」は反転して「SIESTA」の風上を取るべく南西に向かう……はずが、メインセイルだけの「阿武隈」は、ゆるゆると西に向かうばかりで風上に全然上がれない。一方、「SIESTA」は軽々とタックを返し、右舷開きで「阿武隈」の風上から向かってくる。

    うわわわ、風上から来るぞおおぉ!

    水鉄砲の射程は6~8メートル。陸上で遊ぶなら十分でも海上で撃ち合うには短い。なので、互いにギリギリまで引き付けて砲門を開くことになる。

    「シエスタ」がじわりじわりと近づいてくる。帆船小説で戦闘直前の場面でよくあるようなシーンが、現実に展開している。それゆえ、「くるぞおおおおぉぉぉ! 引き付けて、よく、ねらえええぇぇぇ!」と船長は一人で興奮していたりする。

    くるぞおおおおぉぉぉ! 引き付けて、よく、ねらえええぇぇぇ!

    いったん接近すれば、反航してすれ違いさまに撃ち合うので、砲撃できるタイミングはわずかしかない。両艦とも、水鉄砲を構えた砲手に手を伸ばせば届くほどに接近した。

    「かまえぇぇぇぇー!てーっ!!」

    帆船小説なら“雷鳴が轟くような”どっこーん!という効果音が入るところだが、そこは水鉄砲なので「プシュー」という音と共に、互いの船から水流が飛び交う。

    左砲戦!各自、狙い定まり次第、撃ち方始めっ!

    が!

    風上から撃ってくる「SIESTA」の水流は風にのって「阿武隈」の乗員に次々と命中するのに、「阿武隈」の水流は風に押し返されて有効弾にならない。しかも、「シエスタ」の水鉄砲は「阿武隈」のそれよりひと回り大きいようだ。
    くあーっ。

    風上をとった「SIESTA」の砲撃は次々と命中する一方、「阿武隈」の水流は風に押し返される

    保田沖海戦~敵艦みゆ

    8月21日 土曜 晴れ 南の風 風力1~3

    Twitterで局地的に盛り上がった「海戦ごっこ」が現実になった。敵は東京湾マリーナの「SIESTA」(YAMAHA 30S)。保田漁港を目指す「SIESTA」は、0600に東京湾マリーナを出撃。その後、順調に南下する「SIESTA」はTwitterで現在位置を逐次報告してくる。

    迎え撃つ三浦水軍は「阿武隈」が単独で迎撃すべく、乗員5名(掌砲手2名、掌帆手1名、船長兼操舵手1名、報道班員1名)全員がそろった1130、宮川湾を出撃した。天候晴朗、南の風わずか。ゼノアとフルメインをあげた機帆走で保田沖に急ぐ。

    保田沖を目指して進むこと1時間半、1300には内房沖を遊弋する小帆船多数あり。戦闘開始まもなくと戦闘準備に入る。砲手に水鉄砲を手渡し、装填手はバケツに海水を汲む。そして報道班員は防水映写機を回し始め、船長は旗印代わりの日章旗と「N」旗を掲げた。最後に命中判定用のカラーTシャツを「桜印の救命胴衣」の上から着用する。

    左舷11時の方向にメインセイルだけを掲げて接近してくる小帆船を発見。もしや「SIESTA」と総員戦闘配置で警戒しつつ「阿武隈」も接敵を開始。



    11時の方向に敵艦らしきもの見ゆ!

    敵艦と思われる小帆船は西に進みながら「阿武隈」船首を左舷から右舷にゆっくりと横切り、南から吹く風を左舷開きで真横に受けながら、東に進む「阿武隈」の右舷前方に迫ってくる。この時点で、すでに「阿武隈」は風上を取られていた。

    ほどなく、甲板の乗員がカラーTシャツとライフジャケットに身を固めているのが目視できた。「SIESTA」だ!すれ違いざまに奇襲をかけてくるかもしれない!敵が撃ってきたら即座に反撃すべく、「阿武隈」は水鉄砲2門の照準をシエスタに向けつつ接近していく。

    いよいよ、互いの顔がはっきりと見える距離まで迫った。すでに射程距離だ。反航しているので、砲撃できるタイミングはわずかしかない。「SIESTA」は撃ってくるのか? 
    「SIESTA」がじりじりと近づいてきた。すでに射程圏内

    ゲスト来船なれど出港できず

    8月15日 日曜 晴れ 南西の風15メートル(剱埼灯台観測値)

    「阿武隈」にゲスト来船。横浜駅に1000集合。1100三浦海岸駅下車。京急ストアで食料とソフトドリンク(一人当たり2リットル)を調達してタクシーでMMFに向かう。運転手によると、三崎口駅からでは全く身動きできないそうだ。

    1200「阿武隈」上船。晴れているが風が強く出港できないとゲストに伝える。晴れているだけに(そして、港ではさほど風が強く感じられないだけに)非常に残念とのこと。

    ギャレーで塩漬け豚肉のソテー、塩ゆでのブロッコリー、スパゲティーのトマト和えをこさえて昼食にする。「こんなシンプルな料理は初めてみた」とはゲストのコメント。

    切れて「PrincessBayII」の船長に応急していただいたスターンラインを張り直す。切れたロープを修復してバックアップのためにミジップラインとして使う、が、太すぎてクリートにうまくとめられない。交換した「PrincessBayII」のロープを戻す。ありがとうございました。本当に助かりました。

    舷側に生えてしまった海草とフジツボをボートフックでかき落とす。フジツボの残骸をついばもうとして、小魚が群れをなして集まってきた。

    エンジンを回してスクリューについた貝類を吹き飛ばす。ビルジも処分。切れていたポータブルトイレの消臭分解液を補充。ボトルで購入してきたので頻繁に使ってもしばらくは持つだろう。

    本来のヘッドの上に設置したポータブルヘッドを使うときに使用する踏み台代わりの「風呂いす」を試す。これならズボンを下げた状態でもポータブルヘッドに座れる。

    タブレットPC「Viliv 5」にシリアルUSBアダプタのドライバを入れてAISと接続、ハイパーターミナルで通信を確認。ためしにインストールから日が経ってフリーバージョンになってしまったSoftware On Boardを起動すると、おろろ、AISで受信した本船データがアイコンになって表示されるぞ。これでいいのか。

    1700下船。宮川町からバス停から三浦海岸駅に向かう。

    「阿武隈」の舫が切れた!!

    8月14日 土曜 晴れ 南西の風 15メートル(剣埼灯台観測地)

    本日夕方、この1週間ほどMMFに泊まり続けている「PrincessBay II」船長よりメールあり。
    「阿武隈」のスターンラインが切れていたとのこと。

    ぐああああああああ。これは船長として、最も恥ずかしい失態の1つ。

    スターンの係留索だけは、航行中もクリートにつけたまま収納していたので、“すれ”のチェックをしていなかったんだなあ。
    隠蔽して闇に葬りたいところだが、自戒のために、そして、こういう失態を繰り返さないために記録として残す。

    切れた係留索は、「Princess Bay II」船長が自分の船のロープで修復してくれた。
    助かりました。本当にありがとうございます。

    夏の帆走は夕暮れがいい

    8月1日 日曜 晴れ 南南東の風 風力1のち3(阿武隈独自基準)

    長期合宿に出撃する家族を見送ってから自宅を出発。モトラのテールランプ不具合が解決せず、夜間走行を避けるため電車バスで向かう。

    1300、阿武隈上船。風はほとんどないが南の風が顔を撫でていく。この時期は夕方に向けて風が上がってくる。その風を期待して1400出港。

    南の風が緩やかに入ってくる。ゼノアとフルメインの組み合わせで帆走開始。テルテールで風をとらえて、クローズホールドで南下する。ようやく舵が効くだけの速度だったのが少しずつ風が上がって船足も上がっていく。

    栄町の生協で購入した丸パンとバナナを食べながら微風の帆走を楽しむ。昼過ぎの出港で暑い盛りだったが、半袖上下の下に化繊長袖のアンダー上下を重ねて日焼けと体力消耗を防ぐ。微風だったが風が涼しい。

    1440、反転して北上を開始する。午後になってもなかなか風が吹いてこなかったが、1530を過ぎるあたりからようやく上がってきて快適な帆走になった。風は東に回ってほぼアビームで風を受ける。

    1700、ほとんどの人が去って静かになったMMFに帰港する。夕暮れ直前で日が翳ってきた中を解装。1800、下船。きょうの航海で消費した飲料はスポーツドリンク1リットル、麦茶0.5リットル。サイダー350ミリリットル。それでも足りず、帰り道、アイス2本を食べ食べ帰った。