阿武隈 twitter版

    follow me on Twitter

    2週間の休息

    6月10日、6月17日 ともに日曜

     6月4日から6月9日まで海外に出張した。朝から夕方まで現場を歩き回って(これは、まったくもって文字通り)情報を集め、そのまま夜から深夜にかけて数本のリポートを作成して日本に送信する。連日豪雨に見舞われた今回はことのほか体に堪えた。

     帰国翌日の10日はしょうがないとして、その翌週の17日も休息に当てた。身も心も何もすることができない2週間だった。

    修理方法を造船所と相談する

    6月3日日曜 曇り

     FRP工作に挑戦するために、Webページで情報を収集した。ヨットやボート関連の雑誌では難しいイメージで紹介されていたFRP工作だが、インターネットで検索をかけると意外にもカスタム車関連のWebページで個人の実践事例が数多く紹介されていた。それら数あるFRP関連のWebページで、とくに以下に紹介する2つのサイトが参考になった。

    FRP ZONE」はFRP材料販売のネットショップで、「FRP製作室」に用意されている「FRP超初心者用トレーニング!」は画像も多く、私のような未経験者にも理解できるようにFRP作業の基礎が説明されている。

    FRP船の補修」のWebページは、「横田塗料店」のWebページにある1つのコンテンツで、中身は竹内化成が作成している。あとで分かったのだが、竹内化成が扱っているFRP補修キットの説明書にあるものと同じ内容だった。竹内化成は自社のWebページも作成していて、そこでもFRP補修方法を説明する記事を掲載しているが、船の補修に関する説明は横田塗料店の記述が詳しい。

     作業に必要なものはある程度分かった。近所のホームセンター、もしくは三崎の船具屋でそれぞれをバラで安く調達してもよかったのだが、最初で慣れぬこともあるし抜けがあって作業中に困ると思い、FRP補修“キット”を前日に用意しておいた。最初、KAZI直営の船具屋で調達しようと思っていたが、同じ「竹内化成」の製品が横浜ベイサイドマリーナ(YBM)にあるマリンサービス児島で安く売られているのに気がつき、そちらで購入することにした。YBMを訪れたのは、「阿武隈」をMMFに回航するためにそれまで係留していたBバースから舫いを外してから初めてだった。

     1030、自宅出発。1230、上船。
     先々週に応急処置したスタンション根元の亀裂は、浴槽用のコーキングでふさがっていた。ちょっと、いや、確実に「盛りすぎ」た。同じく、満々とビルジを湛えていた機関室もきょうは完全にドライだった。グランドパッキンを締めすぎたかと思ったが、スクリューの付着物を飛ばすためにスクリューを5分間程度回した後でグランドパッキンの下を確認したら、僅かに水溜りができていた。ちょうどいい塩梅なのかもしれないが、シャフトの回転でロックナットが回転してグランドパッキンが緩んでいる可能性もあるので、あとでチェックしておくこと。


    応急処置のために浴槽用のバスコークをぼってりと盛ってしまった。取り除くのに苦労しそうだ



    機関室はビルジなし

     コックピットロッカーの中身を全部甲板に上げて乾燥させる。ロッカーには漏水が僅かに確認された。ロッカーに収納していた予備アンカーをデッキに上げて、船尾寄りに用意されている収納スペース(もともとライフラフト収納のために用意された場所だが、阿武隈ではアンカーロッカーとして利用している)、そこにいままで収納していたブルースアンカーと一緒にしまうことにした。船体の傾斜はやや改善したような「気がする」。また、ロッカーに死蔵したままだったロープを整理して、係船用として使える15メートルロープを5本用意した。


    コックピットロッカーは僅かに水が溜まっていた。先々週水没していた養生シートから漏れ出したものが、外部から進入したものかは不明

     上船して、まず腹ごしらえをする。プロパンが切れているので缶詰とクラッカーで食事をとる。缶詰は「さんまの蒲焼」を開ける。サンマを食べたあとに残ったタレにクラッカーを砕いてまぶす。昨年の秋に予定していた三宅島巡航(これは、天候が折り合わず伊豆大島への1泊巡航に留まった)のために用意した食糧はほとんど消費した。


    相変わらず見ためがひどい「阿武隈」の船内食。クラムチャウダーのようにクラッカーを砕いてイワシ缶のタレにまぶしてみたが、「意外とうまい」

     本当は、その日のうちに作業に取り掛かりたかったのだが、翌日から1週間の海外出張が控えていたのと、雨が降る可能性があったのとで、その日は早く下船することにしていた。補修キットのパッケージを開けて説明書を読んでいるうちに、事前に修理の相談をお願いしていた油壺造船所のスタッフが来船してくれた。

     いろいろとアドバイスを受けて、簡便で強度が確保できるように、スタンション付近の甲板一面にガラスマットを絆創膏のように積層することにした。亀裂の一部はガンネルのトゥレールに沿って入っているが、後々のことを考えて、ここは、FRPで覆わずにコーキングで防水し、船体内側からFRPを積層して補強する予定。ほかにもバウハッチの防水パッキンの補修についてもアドバイスを受ける。作業は、出張から戻ってきてから取り掛かる。

     1600、まだ明るいなかを下船。

    用意したFRP補修キットはマリンサービス児島で購入した。樹脂を取り分けるカップと洗浄用アセトンのカップをペットボトルで用意。手袋と防護用ゴーグル、バスコーク除去用のスクレーパーは船にあった「はず」