洋上でずっと過ごしたい
「Adelita」船長と伊豆諸島の港事情で情報を交換した。「阿武隈」は、連休とお盆に巡航をしない。この時期は訪れた港で不愉快なことが多いからだ。
で、「Adelita」船長に「港に着くまで係留できるかヤキモキするより、錨泊でオーバーナイトを試してみませんか」と提案した。単独の錨泊オーバーナイトは走錨が怖いが、フリートで錨泊して、交代で当直に立てばなんとかなるんじゃないかなと。
本当は、「どこにも寄らず、伊豆諸島をぐるりと回って帰るだけのバカ航海」も提案してみたかったが、「それって変態」と思われてもなんなのでやめておいた。
巡航で訪れる港に美味しくて安い食堂があるかとか、温泉があるとかという要素の優先順位は自分にとってそれほど高くない。伊豆諸島なら島独特の雰囲気を堪能できればそれで十分だったりする。
船上生活(本当は洋上生活なのだが、シングルハンドで限定沿海の海域で昼夜連日航海するのはほぼ不可能)を楽しめればそれが最上の喜びだ。
こういう嗜好はごくごく少数派で、これまで一度として賛同されたことはない。「それって、何が楽しいの?」ともれなく全否定されるので、「お、この人は私と同じ変態だ」と分かるまでは黙っていることにしている。