阿武隈 twitter版

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    洋上でずっと過ごしたい

    「Adelita」船長と伊豆諸島の港事情で情報を交換した。「阿武隈」は、連休とお盆に巡航をしない。この時期は訪れた港で不愉快なことが多いからだ。

    で、「Adelita」船長に「港に着くまで係留できるかヤキモキするより、錨泊でオーバーナイトを試してみませんか」と提案した。単独の錨泊オーバーナイトは走錨が怖いが、フリートで錨泊して、交代で当直に立てばなんとかなるんじゃないかなと。

    本当は、「どこにも寄らず、伊豆諸島をぐるりと回って帰るだけのバカ航海」も提案してみたかったが、「それって変態」と思われてもなんなのでやめておいた。

    巡航で訪れる港に美味しくて安い食堂があるかとか、温泉があるとかという要素の優先順位は自分にとってそれほど高くない。伊豆諸島なら島独特の雰囲気を堪能できればそれで十分だったりする。

    船上生活(本当は洋上生活なのだが、シングルハンドで限定沿海の海域で昼夜連日航海するのはほぼ不可能)を楽しめればそれが最上の喜びだ。

    こういう嗜好はごくごく少数派で、これまで一度として賛同されたことはない。「それって、何が楽しいの?」ともれなく全否定されるので、「お、この人は私と同じ変態だ」と分かるまでは黙っていることにしている。

    ウインチを“腰上”分解した

    4月19日日曜 晴れ 北東の風5メートル

    1130、「阿武隈」上船。両舷のジブシートウインチを整備する。左舷は回転が重く、右舷は時計回りに回したハンドルを逆に戻したときにラチェットが効かない。ウインチの故障、特にツメの破損は腕の骨折に直結すると聞いたので、早めの修理が肝要とのこと。

    ウインチ整備を面倒に思う心理的要因のひとつが、「部品、特にスプリングを飛ばして海に落としてしまうのでは」という不安だ。今回は船に残しておいた段ボールを利用して囲いを作った。

    ウインチトップのオーリングを外して外殻を抜き取る。あとは内殻の回りにはまっているベアリングホルダを抜いて、ベアリングを外す。外したベアリングとホルダは軽油につけて洗う。ホルダは樹脂製なのでパーツクリーナーやCRCを使わないのが無難。

    外殻のトップと内殻のボトムにツメがセットされている。ツメをスプリングと一緒に抜き取って固まったグリスや汚れを掃除する。なお、このツメを抜き取る作業とスプリングとセットしてはめ込む作業でツメを飛ばしやすいので注意。

    右舷ウインチのトップにあるツメの1つが固着して動かなくなっていた。これが不調の原因か。固着したツメが抜けない。洗浄用の軽油にしばらくつけていたらようやく動き始めた。カクカクと動かしながら少しずつ抜く。ツメとスプリングも軽油で洗う。

    今回は内殻を外さない。ツメをセットする部分やウインチトップに露出している歯車をパーツクリーナーで洗う。洗い終わったベアリングと稼働部のすりあわせ箇所にバイク用のモリブテングリスを薄く塗って組み直す。途中、スプリングを組み込む方向とツメをセットする方向をで迷ったが、分解しないでおいた逆舷のウインチを参照にした(「唐草」船長、アドバイスありがとうございました)。

    右舷を終えて左舷に取りかかる。動きが重かった理由は、ベアリングのグリスが固まりつつあったためだった。軽油で洗って組み上げる。初めてウインチの整備を行ったが、1300から始めて両舷終了が1500。途中、「STARTING OVER」メンバーとエンジンの件で話し合い、「Adelita」船長と伊豆諸島の港事情で情報を交換していたので、もっと短時間でできるだろう。

    整備後のウインチは回転が軽くなって扱いやすくなった。音も軽やか。手間をかけた成果が分かりやすくてうれしいことよのう。

    軽風、のち、順風

    4月11日 日曜 曇りのち晴れ 南西の風 風力3(阿武隈独自基準)

    1000、MMF到着。バイク用駐車証をもらう。支払いは来週。出港届けの記入は正確にすべての項目を記載するようにと県から指導があったとの由。了解しました。

    1030、阿武隈上船。計画では土日と船に泊まって集中整備と思っていたが、穏やかな土曜は花見に変更。日曜も風がない予報だったので港で整備と考えたが、思い返せばしばらく船を出していない。晴れてきたので午後から風が上がるかもしれない。急きょ、セイルをセットして1130出港する。

    宮川湾を見下ろす風車は止まっているが、わずかに東から風が吹く。ジェノアとフルメインの組み合わせで帆走。最初は剣埼灯台沖を目指し、タックタックで東に向かう。

    剣埼灯台の南沖に到達してMMFに引き返そうとしたら、風が南からそよそよと上がってきた。舷側を引き波が音をたてて流れる。おおう、気持ちいいぞ。そのまま城ヶ島南岸を西に進む。そのまま、さわさわと引き波を従えて帆走していたら、はるか先に南西ブイが見えてきた。いやー、久しぶり。

    1450、南西ブイをぐるりと回って引き返す。途中、ヒーブツーで船を流して遅い昼食をつくる。ベーコンをギャレーで焼いてフランスパンと食べた。30分ほど漂って再び帆走り始めるが、風はどんどん落ちていく。2ノットを切ったところで機帆走に切り替える。

    1630、MMFに帰港。解装して1800下船。帰ろうと甲板に上がったら、「Dhoni」船長に車で送りましょうと声をかけていただく。ああ、ありがとうございます。とても助かりました。いつもいつもすみません。奥さんとお子さんによろしくお伝えください。

    来週はいよいよモトラ復活か?

    #右舷ウインチが不調。左舷と合わせてこりゃいよいよ分解掃除だな。

    伊豆諸島における携帯電話のエリア

    auを切ってもmovaを残していたのは、洋上や伊豆諸島において最もカバレッジが広いと考えていたからだ。しかし、2009年の式根島巡航で洋上におけるFOMAの圏内エリアがmovaとほぼ同程度だったこともあって、FOMAとレイヤー2で接続するb-mobileの導入に伴ってmovaも整理することにした。

    ちなみに、「SBMのiPhoneをJBしてb-mobileに移行しても使えるエリア的に意味ないじゃん」という意見が多々あるようだが、少なくとも伊豆諸島を巡航するスキッパーにとって、神津島三浦漁港と新島若郷漁港で使えないSBMより使えるb-mobileSIMがはるかに便利だ。

    巡航先や巡航海域で携帯電話が使える使えないの判断は、キャリアが用意しているエリアマップより実際に使うことが確認されたユーザーの報告が確実だ。また、時間経過に伴う変動も激しいので、できるだけ最近の情報を把握するほうがいい。

    わけあって、「阿武隈」は、2008年巡航でMMFと波浮、若郷、神津島三浦間におけるmova、au、SBMのエリア検証を、2009年巡航でMMFと野伏間におけるmova、FOMA、au、SBMのエリア検証をそれぞれ実施している。

    mova、FOMA、SBMは全航程で圏内。auは三崎-大島間の一部で圏外。
    寄港地の検証では、mova、FOMAはすべての港で圏内。SBMは三浦、若郷で圏外。auは三浦、若郷、野伏で圏外。野伏のau圏外は、岸壁より低い船内という条件で。岸壁に上がると圏内。

    ちなみにmovaのみながら2005年にはMMFと三宅島間で検証を行い、新島三宅間の一部を除く全航程と坪田漁港、阿古漁港が圏内であることを確認している。

    auは大島以南の利島、新島、式根島の東岸沖でも圏外。伊豆諸島海域ではauが洋上でつながりにくい。G'zOneという名機があるだけに捨てがたいものがあったが、つながらなくては意味がないのでauを切った。こういうとき、キャリアと端末の組み合わせが自由に選べないのは不便極まりない。

    b-mobileSIMで日本巡航の通信コストを圧縮する

    FOMAとレイヤー2で接続する日本通信のb-mobileSIMを、“むにゃむにゃ”したX02HTで運用開始。懸案だった300Kbps制限のデータ転送速度もX02HTで使うぶんには問題なし。通話は白ロム携帯電話を格安で調達して、こちらはSBMのホワイトプランのみで使う。

    これまで、SMBのブルーSS+パケット定額Bizと離島用movaで月1万1000円強だった通信コストが月3500円程度に圧縮できた。長期間巡航を公開しているHPやBlogで高額な通信コストで悩む報告がよくあるが、そのようなスキッパーに、FOMAと同じエリアで使える低価格定額データ通信の登場は朗報ではないだろうか。

    (以上、自分が発言した複数のツイートをまとめて加筆したものです)

    モトラのキャブレータを修理する。

    モトラのキャブレータからガソリンが漏れる。以前もこの症状が出ていて、そのときはパッキングをすべて交換して解決した。

    2年ちょっとで劣化するものなのかと疑問に思いながら、再度パッキングを取り寄せて修理にかかる。前回は燃料コック(モトラではキャブレータの一部に組み込まれている)から漏れていたが、今回はキャブレータを上下に分ける境目、パーツリストでいうところのキャブレータアセンブリとチャンバーアセンブリの合わせ目から盛大に漏れていた。

    キャブレータを車体から取り外してパッキングを交換する、いたって簡単な作業、と思えるがモトラのフレームは中途半端にキャブレータに干渉しているので、インマニに固定しているボルトのナットが容易に回せない。モトラの見た目に相反して整備性はあまりよろしくない。じわじわとナットを回してようやく取りはずせたが、今度はエアクリーナーのホースが固くて外せない。ええぃ、エアクリーナをフレームに固定しているボルトも外してエアクリーナーごとずるずるー、と取り出した。

    ホースを外し、チャンバーとキャブレータアセンブリを固定するネジを外して分解。パッキングを交換して再びチャンバーとキャブレータアセンブリをネジで固定する、っと、ありゃ、ネジが全然しまらないぞ。と、ネジをみるとネジ山に金属片がつまっている。あわわわ、ネジ切ってしまったー。キャブレータアセンブリに刻まれたネジを削ってしまったので、アセンブリそのものを交換しないといけない。ぐあー、大事になった。

    まったくもって偶然なことに、前回キャブレータからガソリン漏れが発生したときに交換用の中古のキャブレータを購入していた。先に述べたように、そのときはパッキングの交換で済んでしまったので、無駄金を使ってしまったと後悔したが、何が幸いするか分からない。パッキングを交換して組み上げ、フレームに取り付ける。

    従来のキャブレータはすこぶる調子がよく、アイドリングこそ回転数が低かったものの、高速までエンジンを快調に回せる混合比で燃料を燃焼室に送り込んでいた。今度のキャブレータはどうだろうか。エンジンをかけるとアイドリングの回転は高く安定している。あとはどこまで高速に回せるかだ。試走して確認したかったが時間切れ。チューニングは次週に持ち越すことになった。

    モトラのレギュレータを交換する

    このところ、MMF通いで「電車とバスを使って」が続いている。モトラの電装系が不調で走らせることができないでいた。モトラで高速で走行するとヘッドライト、テールランプのバルブが飛ぶことが頻発していた。

    バルブが飛ぶのは過剰電流が原因で、最初、その理由を劣化してダムの役目が果たせなくなったバッテリーにあると思っていたが、バッテリーを交換しても症状は改善されなかった。

    次に考えられるのが安定した電流を生成するレギュレータだ。ちょうどオークションで実働車から取り外した出物があったので入手して交換する。

    モトラの電装パーツは、シートをはねあげてバッテリーボックスを外せばアクセスできるが、レギュレータはそれらの一番奥に取り付けられているので、そのままでは取り外せない。やむをえず、電装パーツを取り付けているステーを取りだし、それからステーにボルト留めされているレギュレータを外した。

    うかつにも、取り付けられていたときの表裏を忘れてしまい、交換するレギュレータの取り付けで迷ったが、サービスマニュアルには取り付けるコードとピンの位置関係も記載されているし、そもそもソケットが正しい向きでしか差さらないので、時間をかけて迷う必要はなかった。

    レギュレータを交換したら、エンジンをかけてウインカーを点灯し、エンジンの回転数を変えながらウインカーの状態をチェックする。いままでは、エンジンの回転数を上げると点滅間隔が短くなっていたが、いまは安定している。

    モトラを購入してから懸案だった不具合がようやく解決した。しかし、もうひとつの懸案「キャブレータからガソリン漏れ」が残っている。