阿武隈 twitter版

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    清水タンクとヘッドの配置を見直す

    8月5日 日曜 晴れ 南南西の風13メートル(剣崎灯台観測値)

     1130出発。MMF1330着。モトラが動かせないので電車とバスと徒歩で行く。まるよし食堂のラーメンを楽しみにしていたが、ほか弁の油の匂いを嗅いだら無性に食べたくなってノリ唐弁当を購入した。自分にとって、ほか弁の匂いは高校の部活の匂いだ。

     MICSでみる風は帆走にちょうどよいと思ったが、港について海を見るとかなり強い。白波もいたるところに見える。機帆走のヨットを1隻見かけたが、出港は止めておく。港の整備岸壁にレース帰りの船が2隻係留していて後片付けをしていた。


    丸めたヘッドセールをバウハッチから船内にしまう光景は、潜水艦へ魚雷を積み込む姿によく似ている

     1400、上船。船で弁当を食べる。うつらうつらと昼寝をする。フォクスルに風が吹き込んで涼しい。機関を動かしてスクリューを回す。書き重ねて汚れてきた航海用白盤をきれいに拭いて油性マジックで線を引きなおす。「インペラ交換」欄の場所を間違えた。あとで「機関累時」脇に移動すること。COMPUCOURSEの裏面に、航海メモ用の欄を油性マジックで書く。記入しやすくなるはずだ。「阿武隈」では、これに航海中の行動(機関の始動停止、帆装、針路変更などの時間など)をダーマトで記録している。


    日の出日の入り、潮汐、消費物資の情報をまとめておく。巡航でに便利なのが「転針点」のリストで、これを参照していれば目的地までたどり着ける




    COMPUCOURSEの裏側に用意したログリスト。こちらは何度かトライしたが、なかなかうまく記録が取れない。ボイスレコーダのほうが実用的かもしれない

     船内の配置を変更する。右舷に傾き気味だったので、フォクスル中央に置いていた清水ポリタンク(20リットル×2)を左舷にあるギャレー脇に移動。そこにあった使っていない冷蔵庫(もどき)は、食糧入れにしてフォクスルに置く。

     それから懸案のヘッドレイアウトも解決する。「阿武隈」では港でも心置きなくヘッドが使えるようにポータブルトイレを導入しているが、なかなか使いやすい場所がなくて難儀していた。それを、もともと設置されているヘッドの上に載せた。偶然にも高さがちょうど「排出口」のあたりに来て、小用のときはすこぶる使い勝手がよさそうだ。問題は大のときで、そのままでは座れない。そこで、踏み台代わりのバケツを2個置いて見たところ、強度も高さもちょうどよくなった。これなら、安心して「フンばれる」。

     長年の懸案が2件解決したので、気分は大変よろしい。


    右舷への傾斜を調整するため、清水用のポリタンクを左舷のギャレー脇に移動した



    備え付けのヘッドの上にポータブルトイレを置く。踏ん張るときは踏み台代わりのバケツを並べる

     風がどんどん上がってきた。マストを鳴らす音と蝉の鳴き声が重なっている。夏と冬の音が交差する。珍しく船で音楽を鳴らした。モツアルトは意外と海に合う。

     1800、下船。来週は東北へ旅行するので船にはこない。「阿武隈」では盛夏がシーズンオフになる。

    モトラ、抱き付き!

     モトラのエンジンオイルが漏れ始めたのは、2007年の2月だった。クランクケースのガスケットから漏れていると思ったが、エンジンの底面をスワブで拭い、翌週調べたら、ギアペダルシャフトのオイルシールからにじみ出ているのを確認した。その時点でオイルシールを交換すればよかったのだか、1カ月に1度の頻度でオイルを500cc注ぎ足すという対処療法で今までやり過ごしてきた。


    エンジン中央の合わせめからオイルが滴っていたので、クランクケースのガスケットか、と思ったのだが



    エンジンの底を拭いて翌週チェックしたら、ギアペダルシャフトの周りがオイルで濡れていた



     7月29日は、そろそろ注ぎ足しの時期だったが、出発を急いでいたのと、オイルが足りなくなっていたときに発生するエンジンの「シャリシャリ」音が暖気中に聞こえなかったのとで、「大丈夫でしょう」とそのまま出発してしまった。今となっては、悔やんでも悔やんでも悔やみきれない「その時」だった。

     MMFを出発して15分ほどした、まもなく「一騎塚」交差点に差しかかろうとする長い下り坂を走っているときに、モトラがわずかに減速した。アクセルを開いているのに速度が出ない。と、まもなくエンジンブレーキが利いたときのような「ククククク」という抵抗を感じ始めた。これはただごとではない。運良く見つけた駐車場に滑りこんで停車したとたん、エンジンが「ククン」と停止した。初めて出くわす症状だった。

     ぬけている私は、燃料コックを閉じたまま走り出して、ガス欠状態で停止してしまうことがママあるが、そのときのような、「スー」とパワーがなくなって止まってしまうのとはまったく違う感触だった。モトラで初めてMMFに行った帰り道、自宅のある駅の1つ手前あたりでスロットルケーブルが切断してモトラが走らなくなったことがあった。いま、止まる寸前の、「アクセルを開いても開いても速度が出ない」という感触とよく似ていた。しかし、そのときにエンジンが止まる感じはガス欠と同じ「スー」と力が抜けていくようだった。いまのはそれとだいぶ違う。

     キックは降りるし圧縮も感じるがエンジンが始動しない。原因が分からない。キックを下ろすとエンジンから「キュキュキュ」と摩擦音がする。ようやく、エンジンオイルのことを思い出した。オイルキャップを開けると白い湯気が勢いよく上がってきた。検油棒で確認したらオイルがほとんどなくなっていた。

     やってしまった、焼き付いたか。キックは降りるので、抱き付きですんだのか。抱き付きですんだとしても、オイルがない状態でエンジンを回せばダメージは大きくなる。予備のエンジンオイルは持っていない。

     この場でできることはない。バイク保険のレッカーサービスをここから横浜の自宅まで利用したらいくらかかるか見当もつかない。進退窮まった。とにかく、モトラを引いてガソリンスタンドを捜すことにする。軽い抱きつきですんでいれば、オイルを注ぎ足してエンジンを冷やせば再び動かすことができるかもしれない。幸い、一騎塚の近くまで来ていたので、ガソリンスタンドはすぐ近くにあるはずだった。

     15分ほどで、ガソリンスタンドを見つけた。エンジンオイルを500cc注ぎ、アクセルを開き気味でキックするとエンジンが始動した。「キュキュキュ」という異音もしなくなった。しかし、アクセルを戻してアイドルにするとエンジンも止まる。あくまでも応急処置に過ぎない。ピストンとシリンダーにダメージを受けている。

     ガソリンスタンドのスタッフはとても親切で、知り合いのバイクショップに電話をかけてくれた。バイクショップのスタッフはモトラをピックアップして修理してあげようと提案してくれたが、エンジンが回っている分にはなんとかいけそうだったので、モトラを走らせて帰ることにした。速度を抑え気味に走り、信号で止まるたびにエンジンが停止する前にギアを急いでニュートラルに戻してアクセルを吹かす。マフラーからオイルが焼ける青い煙が吐き出される。

     どうにかこうにか、横浜の自宅までモトラは走ってくれた。走っている分にはいつもとまったく同じモトラだった。しかし、正しい危機対処で考えるなら、ガソリンスタンドでバイク屋にピックアップしてもらい修理をするべきだった。

     私のモトラは、もともと「パーツ取り」用の車体としてオークションに出品されていた。だから、外装はボロボロで電装はガタガタで足回りはヨロヨロで、とにかく購入してから交換に次ぐ交換でようやく走れるようになった。ただ、「エンジンがキレイな車体は大丈夫」と根拠なく信じて購入した、そのエンジンの調子が実によく、モトラより重い私が乗った状態でも、国道16号の車の流れをメーター読み時速70キロで走ることもできた「ような気がする」(原付の法定制限速度は時速30キロ)。

     そんな、エンジンだけが取り柄のモトラだったのに、そのエンジンを自分の怠慢でダメにしてしまった。

    船内を乾かしオイルを交換

    7月29日 晴れのち豪雨 南東の風4メートル(剣崎灯台観測値)

     予報では「土曜日は晴れ、日曜は雨」となっていたので、土曜日に港へ行くつもりだったが、疲れに負けて日曜になってしまった。1030、出発。1230、MMF着。1240、上船。

     順番としては「きょうこそFRP」であるが、上船した時間が遅かったので「きょうも止めておきましょう」。MICSを見るとちょうどいい風が吹いているようでもあったので、帆走もいいかと思ったが、港に着いたら風がどんどん落ちてしまった。じりじりと日が照って風がない、ということで、船を乾かすことにする。先日、船に泊ったらバースクッションが「なんとなくじっとり」していたのが気になっていた。

     バースクッションを全部甲板に上げて、飛ばないように係船索の余った部分でおさえる。ついでなので、救命胴着(船検数合わせ用)も寝袋も毛布もセールバックも甲板に上げて干した。バースロッカーもフタをあけて乾かす。



     相変わらず、プロパンが切れたままなので、昼は「まるよし食堂」で食べる。宮川湾でとれる“はばのり”を使った定食や中トロヅケ丼で有名だが、実はラーメンもおいしい。細麺を使った東京風で、あっさりした醤油スープなのに凪いだときの海面のようなトロリとした感触がある。これにヌカ漬けがついたご飯を合わせれば、私でも満腹になる。

     船に戻ってエンジンオイルを交換する。前回行ってから1年以上経ってしまった。2リットルペットボトルを小脇に抱え手押しポンプでくみ出す。1リットルほど吸い出せた。2006年の4月に開封して残っていたオイルを入れる。色がやや黒く感じるのは劣化したためだろうか。500ccを一気にいれて、その後は検油棒で量を確認してから100ccずつ入れていく。1リットル入れたところでちょうどケージの真ん中まで油面がきた。機関を5分程度動かしてから停止させ、時間をおいて再度油面を確認する。油面はケージの中央からやや下あたりだった。ギアボックスのオイルも交換しようと思い、検油棒でオイルをチェックしたら色は新しい色のままだったので、今回もそのままにしておく。もう3年も変えていない。いいのかな。よくないのかな。

     甲板に並べたクッションやセールバック、救命胴着を船の中に収納して、1630、下船。先々週取り付けた増し舫いを外して通常モードに戻す。時間が足りなくなってフェンダーは「台風」モードのままにしておく。

     きょうは投票しなければならないので、早めに船を下りる。いまから帰れば、余裕で間に合うだろう、と思っていたら、帰宅途中でアクシデントに遭遇した。

    船に行かずに家の片づけ

    7月22日 日曜。
     この週末は、家で片付けをする。本当は土曜日にやるはずだったが、疲れて寝てしまったため日曜にずれ込んだ。訳があって、この夏の最重要優先課題であるため、これを終わらずして港に行くことはできない。

     半日かけて、部屋を塞いでいたダンボール箱や使っていないロッカーを一掃した。不要なものは、何も考えずに丸ごと移動させるのが肝要だ。

     船に行けなかった週末だったが、予想以上に作業が進んだ気分はよかった。チェーン交換のときに見つからなかったモトラの部品(チェーンアジャスター)も見つけることができた。