阿武隈 twitter版

    follow me on Twitter

    いい風吹いたが病み上がり

    2月21日、日曜 晴れ 北東の風10メートル(剣崎灯台観測値)

    1100、三浦海岸駅下車。観光客でにぎわう。油壺や宮川湾のヨット乗りがぶつぶつ言う声もネットからいろいろ聞こえてくるが、地元にすれば、にぎわって何よりなんだろうなと。文句ばかりで地元の商店に金を落とさない我々(あ、私だけですか)こそ地元から嫌がられているんじゃないのと思ってみたり。三浦海岸に面したマックでバス待ちの時間調整。すぐ近くには、“三浦ツウ”御用達の食堂もあるが、海を見渡せるここが気に入っている。おお、モバイルWiMAXががんがん使えるのね。

    1230、「阿武隈」上船。久しぶりに北東のしっかりした風が吹いているが、病み上がりなので港で過ごす。係留申請に必要な各書類を「阿武隈」からピックアップする。キャビンでAIS検証用画像をいろいろと撮影。短いハンディVHF用アンテナを取り付けてキャビンに設置した2万円しないレシーバでも12海里先のAIS信号を受信できる。衝突防止用ならこれで十分だろう。

    風が冷たい。ストーブを焚いて暖をとる。「阿武隈」ではUniFlameの「WAAARM」をずっと使っている。カセットガス2本搭載で燃焼時間は10時間。屋外用なので換気に注意しなければならないが、パワーがあって重宝している。もともと中古で入手したが、「阿武隈」で長期にわたって使っているうちに、だいぶくたびれてきた。代替品を用意したいが、オークションでも出品される機会が少なくなっている。最近のプレジャーボートでは、イワタニのカセットガスストーブが主流になっているようだが、燃焼時間が短いのがネックだ。

    1550、下船。きょうは、いよいよ挙動がおかしくなってきたX02HTを大手術するので、早めに帰宅する。

    「Dhoni」船長と海に出る

    2月14日 日曜 曇り 北東の風 風力3から1(阿武隈独自基準)

    1200、「阿武隈」上船。整備をしている「Dhoni」船長と雑談。「“阿武隈”時間なので帰ってくるのが遅くなりますけど、よかったら一緒に出港しませんか」と誘う。話しまとまって「阿武隈」では大変珍しいダブルハンドで1300に出港。ヘッドセイルの選択に迷ったが、二人いることもあってゼノアを選ぶ。北東の風を左舷後方から受けて南に向かう。

    「Dhoni」船長に操船をお願いして、AISの検証作業を進める。航路を進む本船はほぼ捉えている。SOBでは、衝突コースにある本船が赤いアイコンで示される。ジャイブして「阿武隈」の進路を変えるとアイコンが黄色に戻った。AISの設置義務がない500トン未満の内航船や遊漁船はAISに表示されない。

    「南西ブイでも目指しましょうか」となったが、風がどんどん弱くなり、1430、機帆走に移る。「なら、油壺でも巡りますか」となったが、風が冷たく三崎港北条湾をぐるりと回って、MMFに帰港した。

    「Dhoni」船長の人柄のおかげか、ゆったりと楽しく過ごすことができた。よかったらまたご一緒させてください。「Dhoni」船長にセイルの収納を手伝っていただいただけでなく、車で駅まで送ってもらう。なにからなにまでありがとうございました。

    AISで遊ぶ

    2月7日 日曜 晴れ 南の風5メートル(剣埼灯台観測値)
    1200、MMF到着。「みらい」船長から「AIS 38400」のメッセージあり。先週うまく表示されなかったAISレシーバとPC側との接続設定情報だ。オンラインで入手できるドキュメントでも転送レートを38400bpsに設定するように指定されていた。デフォルトの4800じゃまともにASCIIコードが読み取れないはずだ。
    「阿武隈」上船。風が落ちてしまった。きょうは港でAIS設定の続きをする。AISレシーバをコンパニオンハッチから外に出しアンテナが垂直になるように設置。シリアルインタフェースをUSB変換アダプタを介してNetbookに接続。デバイスマネージャでCOMポートプロパティを開き、転送速度を38400に設定。PC側の航海ソフトでAISデバイス接続ポートの設定画面を開いて、COMポート番号と転送速度を設定。GPSとAISを接続したポートを開くと、AISで受信した本船位置情報の三角シンボルと丸い自船位置が表示された。やったね。
    その後もしばらく設定を試行錯誤して速度と方位のベクトルを表示させたり受信したターゲットリストの内容をチェックして遊ぶ。アンテナをキャビン内に設置しても、MMF港内で剣崎から南から房総半島南端までの本船が把握できた。
    2006年に(私が勝手にお師匠さんと思っている)先輩船長の小豆島〜西伊豆回航でAISを試験的に運用したが、そのときのシステムはレシーバと対応航海ソフトをあわせて30万円コースだった。
    今回構築したシステムは、レシーバと対応航海ソフトをあわせて5万円を切る。レシーバだけなら2万円かからない(送料は別)。バリュークラスのハンディGPSより安いコストでAIS機能を付加できる時代になったんだなあ(ちなみに今回購入した廉価なAISレシーバはKAZI誌でAPRSの解説記事を連載している「新高丸」船長に、「ラピタ丸」船長が運営している掲示板で教えていただいた。両船長、ありがとうございました)。
    1400過ぎから南の風が上がってきた。んんん、午後からぱったり風がやむと思っていたのにちょうどいい風だ。うあー、もったいない。でも、これからセイルをセットして帰港してから解装するにはちょっと遅い。YeeHawにお邪魔して、タコとカワハギをごちそうになる。美味しかったです。ごちそうさまでした。
    1600、下船。宮川町からバスに乗って三浦海岸に向かう。

    AISで悩む

    1月31日 日曜 晴れ 風弱く

    0930、起床。寝袋にくるまっているとよく眠れない。毛布に変えようか。バースのクッションにも問題があるのか。

    晴れているが風がない。出るかでないか迷いながら管理棟に出向く。「Barbarian」メンバーと「みらい」船長とで肩ふりで盛り上がる。お二人とも海外の国々を仕事で訪れている。とても面白い話を聞けて楽しかった。

    船に戻ったらもう昼を過ぎていた。風もパッタリと止んでしまった。そのまま港で過ごす。昨晩テストで取り付けたAISレシーバが本船データをまったく捉えなかった。有視界の本船動静が把握できれば十分と考えていたので、短いモバイル用VHFアンテナを取り付けていたのが悪かったのか、シリアルとUSBの変換アダプタが悪さをしているのか、PC側のポート設定が間違っているのか、PCで動かしている航海ソフトに問題あるのか。

    チェックポイントが多岐にわたって始末が悪い。舶用電装機器のプロでもある「みらい」船長に相談する。

    アドバイスは三点。

    ・AISは垂直波なので、アンテナは寝かさずに立てること
    ・ポートの通信速度、パリティチェックなどの設定を確認すること
    ・ハイパーターミナルでAISレシーバからPC側にデータが流れているかチェックすること

    無線をやらないので最初のアドバイスは教えてもらわないと気が付かなかった。ポートの設定はマニュアルを見ないと正しい設定が分からないが、AISキットには紙のマニュアルが付属せず(オンラインでPDFを参照するようになっていた)、とりあえず「常識的な値」であるデフォルトにしておく。

    ハイパーターミナルを使った通信チェックは、はるか昔にモデムを使っていたころにやったことはあるが、もう使い方もコマンドも忘れてしまったよ。「みらい」船長に使い方を教わりながら起動、おお、なんかテキストらしきものが入力されてくる。どうやらAISレシーバーとPC側の接続と通信はできているようだ(ちなみに、第2、第3の確認はGPSをPCに接続したときでも同様)。

    でも、PCで動く航海ソフトに本船データは表示されない。AISレシーバーのパイロットランプを見ても、電波を受信していることを示す赤LEDは点滅していても、AISデータ受信を示す緑LEDはたまにしか点滅しない。港の中なので本船が航行しているか否かを自分の目で確認できないが、三浦半島の南端を本船が航行していないわけがない。

    「アンテナの感度不足かもしれんね」ということで、次回、「みらい」の高感度VHFアンテナを使って再度検証することになった。「みらい」船長、帰りがけに引き留めて長時間のサポートありがとうございました。

    1600、下船。管理棟の前で会った「Macca」船長のMini(しかもクラシックタイプ!)で駅まで送っていただく。ありがとうございます。あのボディからは想像できないパワフルなドライビングを堪能させていただきました。

    Moon Light Sailing

    1月30日 土曜 晴れ 南東の風 風力2

    1630、自宅出発。途中、修理が終わったオートパイロットをKAZIシープラザからピックアップしてMMFに向かう。京急車内で三浦海岸駅到着時刻と剣埼経由三崎東岡行きバスの発車時刻を調べる。うぉ、わずか三分で連絡する。駅で食糧を調達しようと思ったのに。買わずに乗るか三崎口で調達して暗い道を歩くか。迷うことなく三浦海岸駅で降りる。三浦海岸を走るバスから海を見ると、満月に照らされて銀色に輝いていた。無性に海に出たくなる。

    1930、「阿武隈」上船。大潮ということで、いろんな方からアドバイスをもらう。出るか出ぬか迷ったが、風がこのまま朝まで安定するのと、潮の流れが緩やかになる干潮時刻の前後1〜2時間に出港して帰港することにする。月の光で甲板が青白く光る中を艤装。米国からネット販売で安く入手したAISレシーバも取り付ける。仮設置なのでスイッチパネルではなくバッテリーから直接電源をとる。

    2200、出港のため機関始動、う、バッテリーがアウト。船の照明がすべて落ちた。のあー、出港できないのか。AISレシーバの電源コードをバッテリーターミナルに接続するときに締めかたが緩かったのか。ギュッと締め直して再始動。今度はうまくいった。

    2220、出港。港内のサーチライトも消えていたが、月に照らされてよく見える。干潮が近いので水路の真ん中を意識して進む。ジブとフルメインの組み合わせでセイルを揚げる。海は穏やか風も弱く帆走がままならない。南に向かって進むが船足は伸びず、安房埼灯台をなかなか越せない。ジェノアが適切かもしれないが、視界を確保するためジブを選んだ。



    静寂。ほかに船はいない。月が頭上から青白い光を「阿武隈」に投げかける。不意に爆音が響いて一条に飛行機雲が空を貫く。その飛行機雲は上空の風に流されて月を跨いで東の空に消えていった。



    2400、安房埼灯台を越えてようやく城ヶ島の南に出た。だが、そろそろ帰らないと。ちょうど磁方位60度に見える剣埼灯台を目指して戻る。MMF入口灯標が磁方位20度にきたポイントで転針。灯標を目指す。

    帆走したままジブを降ろし、機関をかけようとしたら、またバッテリーアウト。機関がかからないっ。それどころか航海灯まで全部消えてしまった。と、そのとき、MMF入り口付近を東に進む緑色舷灯と高い位置にある白色灯を確認した。「阿武隈」以外にセイリングクルーザーが遊弋しているのに驚いたが、こちらの航海灯がいきなり消えてしまったので、むこうもびっくりしているんじゃないだろうか。こんな深夜に出くわしたとたん、航海灯を消して針路を変えたら挙動不審船以外の何者でもない。おりしも、三浦半島西岸の港では船外機の大量盗難があったばかりだ。まずいー。

    まずは、バッテリーターミナルを増締めして航海灯を回復させる。ついで機関を再始動、あ、また落ちた。くっそー。今度はメインスイッチの端子ボルトを締め直す。おっと、けっこう緩んでいた。今度は航海灯を点けず、機関再始動を優先する。どりゃ、動いたー。

    航海灯を点灯し、メインセイルを降ろし、係船索とフェンダーをセットして2510、無事帰港。深夜にもかかわらず起きていた「PrincessBay II」船長と「Adelita」船長に補助していただく。ありがとうございました。

    セイルを固縛し、カップラーメンを食べて、2600、消灯。