阿武隈 twitter版

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    風が吹かない港に籠る

    3月27日 晴れ 北東の風のち南東の風2メートル

    日曜の午前中にいい風が吹くという。前日から船に泊まって朝早く出港したいが、まだ、そういう状況にはない。自粛ではなく不測の事態に備えるため。こういう状況はしばらく続くだろう。

    朝早く出発したかったが、例によって遅くなる。1200港に着く。まるよしでラーメンを食べて、1300「阿武隈」上船。風車が回り、頬に風を感じるが、これから風が落ちると思うとセイルを準備するのが億劫になる。

    予算が乏しい「阿武隈」では、ジブファラーもなければメインセイルカバーもない。出港のたびに船内に収納しているメインセイルをブームにセットし、ジブセイルをフォアステーに取り付ける。帰港したらそれらすべてを取り外して畳んでから船内に収納する。

    このまま風がなくなると考え、出港せずにキャビンでごろごろと過ごす。三宅島に寄港したときのことを書いて、神棚に塩釜神社のお札を供え、ポータブルヘッドのビルジを処分する。

    1700、「阿武隈」下船。偶然あった「YeeHaw!」のメンバーと宮川町からバスに乗って帰る。

    風が急に吹き上がった

    3月20日 日曜 晴れ

    依然としてガソリンの補給が困難なので、モトラではなく電車とバスで港に向かう。

    1300「阿武隈」上船。風は穏やかで気持ちよく帆走できそうだが、GPVの数値予報は午後から夕方にかけて風が急激に上がってくるという。見た目に信じがたいが、出港を取り止める。

    キャビンで書き物。1500過ぎから風が上がってきた。港がリギンを鳴らす風の音で満たされる。

    1700、下船。まだ明るい。明日は春分の日だ。風に向かって歩けないほどに風が強くなっていた。GPV予報を確認していたから出港を止めたが、自分の観望天気では、帰港で相当難儀していただろう。

    静かな海にいく

    3月13日 日曜 晴れ
    注意報にレベルが下がったので、港と船の状況を確認するため、モトラで出撃する。立ち入りが規制されている可能性があるため、その場合は風車のある高台から確認できるように普段は港にもっていかない12倍ズームコンデジを準備した。
    16号に出るまで、16号に出たあと、衣笠駅から三崎に至るまで、いずれも車は少ない。たまに渋滞していると思うと給油待ちの車列が400メートルも続いていた。
    MMFに到着すると、立ち入り規制もなく、まるよし食堂は通常営業で、岸壁では釣りをしている。ごくごく普通の風景だった。 MMFの施設に損害はなく、船も係留索やクリートを含めた係留設備もすべて異状は認められなかった。管理棟から桟橋に至る道や崖も変わりない。
    1400、「阿武隈」上船。備蓄食料とガスコンロ、ガスをピックアップしてモトラに載せる。いい風が吹いて、このまま海にでても何ら問題ないように見える海だった。
    不測の事態を避けるため日没前に帰宅するべく、1530、下船。でも、まるよし食堂でラーメンを食べて出発が遅れる。
    帰り道、16号を走る車はますます少なく、営業しているガソリンスタンドもさらに減り、たまにやっているところは給油待ちの列が延びる。結局、途中給油することなく帰宅した。
    次の週末は海に出ようと思う。

    小さい携帯電話で電子海図を使ってみた

    「航海術は紙の海図とハンドコンパス」が信条の「阿武隈」ですが、シングルハンドで、しかも、オートパイロットが壊れたままゆえ、舵柄を握ったまま甲板から離れることなく使える航海機器を必要としていまして、これまで、タブレットタイプのTOUGHBOOKを甲板においたまま使ったり、Windows Mobileベースのスマートフォン「X02HT」に航海ソフト「Pathaway」を導入したりなどしてきました。特に、X02HTとPathawayの組み合わせは、キャプチャしたビットマップを海図データとして用意するという制約があったものの、多彩なな表示機能が使いやすいだけでなく、防水パックに入れてしまえば普段使いのスマートフォンが高機能GPSプロッタに相当する使い勝手を実現していました。実際、「阿武隈」では普段の航海や巡航でX02HTをライフジャケットのポケットに入れて、すぐに情報を参照できるメインの航海機器として長いこと運用してきました。

    しかし、X02HTにもスマートフォンとしての性能に限界がきて、2010年後半にAndroid搭載モデルに切り替えました。となると、Androidで使える航海ソフトが使いたくなります。幸い、Androidマーケットでは「NAVIONICS」の航海ソフトが入手できます。NAVIONICSでは、収録する海図エリアごとに異なるパッケージを用意していますが、日本海域を収録しているのは「Marine : Pacific Is. & Japan」です。価格は1000円程度(為替レートの変動に併せて価格も変わる)。わずか1000円で、水路情報のデータベースを収録したベクトルデータで構成される電子海図と、機能はシンプルながら、ルート作成機能やGPSトラッキングなど基本機能は備え、FacebookやTwitter、WindForcastなどネットワークと連動した情報共有機能もカバーする航海ソフトが入手できます。

    NAVIONICSの海図データと付属する航海ソフトの概要については、すでに別な場所で記事が掲載されています。そこでは、7型ワイドで解像が1024×768ドットのディスプレイを搭載したタブレットデバイス(GALAXY Tab)で運用した実例が紹介されているので、ここでは、4型ワイドで解像度が320×240ドットの小型スマートフォンに導入した場合について記します。

    ディスプレイのサイズが小さくなって解像度が低くなっていますが、表示領域のズーミングやパンニングが速いので、海図の一覧性が低下して使い勝手が悪くなることはありません。小型スマートフォンでは、CPUの動作クロックが低くなるなど性能も抑えていますが、画面の描画速度や水路情報の検索と表示処理速度は、より性能の高いタブレットデバイスとほぼ同じです。

    一方、本体を握ったままの片手で操作が完結するので、詰め開きの帆走で激しくピッチングしても、風を後方から受けた帆走で大きくローリングしても、操作が確実にできます。海図に表示されるバルーンのタップ、航路標識の選択、距離と方位の計算で使うポジションピンの移動でもストレスを感じることもありません。

    収録されている海図はベクトルデータで構成されているので、拡大しても表示は乱れず、また、収録されている水路情報のデータは充実しており、かつ、バージョンアップのたびに更新と追記が施されます(特に最近のVer.5.0からVer.5.1の更新で大幅に追記された)。

    モバイルデバイス向けのNAVIONICSはiPhoneとiPad版が先行して登場していましたが、「なぜか」Marine:Pacific Is. & Japanが日本で購入できません(2011年2月末時点)。幸い Android版は日本でもPacific Is. & Japanが購入できています。購入したときのGoogleアカウントを設定すれば、異なるデバイスにも導入できるので、画面サイズと解像度を重視して大画面タブレットデバイスを使うのもよし、片手で使える使い勝手を重視して小さなスマートフォンに入れるのもよし、とユーザーの考えにあわせてデバイスを柔軟に選べるのもAndroid版のメリットといえるでしょう。

    で、現時点における「阿武隈」の電脳航海システムは、NAVIONICSを導入した小型スマートフォンを防水パックに入れてライフジャケットのポケットに忍ばせ、通常の航海では主にそちらを使用するほか、「Software On the Boaut」を導入し、AISレシーバーを接続した、5型ワイドディスプレイ(解像度は1024×768ドット)搭載Windows XPタブレットPCを甲板に設置して、詳細な航海情報の確認とAISによる本船動向の確認、衝突警報のチェックをできるように運用しています。

    電脳航海システムというと、大がかりな仕掛けを想起させるようですが、「阿武隈」では、小さなタブレットPCが甲板に転がっていて、時折ライフジャケットから"携帯電話"を取りだすだけなので、見た目的には「なんかすごい機械がたくさん取り付けられているかと期待していたのに裏切られた」という感想をいただくことが多いようです。