阿武隈 twitter版

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    朝もやで出港せず

    7月25日 日曜 曇りのち晴れ 南西の風9メートル(剱埼灯台観測値)

    0500、起床。昨晩からかかっていた霧が依然として視界を遮っている。時間によって薄くなったり海面辺りがクリアになって水平線が見えたりしていたが、ひどいときにはMMFの係留艇もぼやけるほどだった。風は収まってきて帆走にちょうどいい加減だったが、濃霧はいけない。

    ちょうど三崎港から漁船や地元に帰るプレジャーボートが出港してMMFの沖は混雑する時間帯だ。視界が利かない状況でセイリングクルーザーが出港してのたのたと横切っていたら甚だ迷惑。出港を取り止めて早々にセイルを片付ける。なぜか、桟橋に毛虫が大発生していたので甲板で畳む。

    朝食はまるよしを予定していたが、まだ開かない。腹が空いたのでレトルトのスパゲティーを二人で分ける。食べたら朝寝。友人は気持ち良さそうに眠っている。

    9時ごろ下船。まるよしで朝食。中とろの漬け丼は、三浦海岸で食べたきのうの昼食よりボリュームがあった。

    宮川町からバスに乗り三浦海岸駅へ。駅前の喫茶店で朝のコーヒーをたっぷりと飲んでから横浜に向かう。横浜の古い中華屋で昼食。家族にお土産までいただいて横浜駅で友人と別れる。今回はよく食べたなあ。次こそ帆走しような。

    塩辛いステーキを食べる

    7月25日 土曜 曇り 南西の風15メートルは超えていたんじゃない

    ゲストが来ることはめったにない「阿武隈」に友人がやってくる。2008年に来船したときは天候に恵まれなかったが、今回は少なくとも雨は降らないようだ。

    11時に横浜で待ち合わせ。京急で三浦海岸に向かう。海辺の食堂で昼ごはん。穫れた魚が少なくて刺身の盛り合わせが頼めなかった。シーズン中はこういうこともあるでしょう。駅に戻って京急ストアで食料を調達。オージーのステーキ肉を用意した。野菜は見切り品を少々。バスで宮川に向かう。

    1400、上船。コックピットにオーニングをかけ、セイルをセットする。だが、南風がどんどん上がってくる。出港を見合わせる。明日の朝、風が落ちたらのんびりと帆走しよう。

    買ってきたステーキ肉に塩と胡椒をふりかけ、トレイにぎゅうぎゅうと押し込み、軽い塩漬け状態にする。野菜もカットして塩をふっておいておく。

    Doonieが家族で楽しんでいた。きょうは船に泊まっていくそうだ。Tallboyの船長と相談事。

    1730、日が暮れる前に夕食の準備。といっても、用意しておいた野菜を茹でて肉を焼くだけ。大航海時代風、塩漬け肉のステーキと塩茹固野菜の夕食だ。友人が買ってきてくれた洋酒で乾杯する。塩辛い肉を紅茶で腹に流し込む。

    日が沈んでからコックピットで星を見る。夜食にパックごはんとレトルトカレーでリゾットを作る。

    2200、消灯。

    追記:落水者あり。そのときキャビンにいたが、物音が聞こえても、まさか落水とは思わず、そのままようすをうかがっていた。救助のために甲板にすぐ上がらなかったのは問題。落水者はスターンラインをつかんで自力で上がることができた。大事にならなくてよかった。

    無風でうねる海を機走する

    7月20日 祝日 晴れ 東の風 風力1〜0(阿武隈独自基準)


    0230、目が覚める。ハッチから見える夜空に星が輝いていた。甲板に出て眺める。天頂から東にかけてクリア。西と南にモヤと薄雲がかかっている。夏の大三角はもう西に傾いていた。天頂で秋の星座のペガサスが駈ける。「阿武隈」のマストの右斜め上にいるか座がみえた。ペガサスからアンドロメダ、そしてその東側にスバルをみる。さらに、その東から二日後に太陽を食べる細い月が上ってきた。

    そのまま夜明けまで甲板で過ごす。0400、ようやく周囲の景色が見えてきた。南の風がまだ残っている。帆をあげて出港しようか。ああ、でも帰港してから片付けるのが億劫だな、と迷っているうちにすっかり夜が明けて、風車が止まった。0500、MMFから2隻のパワーボートが出港した。そのあとを追いかけるように、セイルをセットしないまま「阿武隈」も出港する。

    防波堤を超えると海はうねっていた。海面を引きずっている左舷のフェンダーを甲板に引き上げただけでそのまま三崎港に向かう。うらりに係留しているパワーボートやセイリングクルーザーはみな起きていた。出港していく船もある。岸壁も釣り人でもう一杯だ。

    うらり、北条湾と回ってMMFにもどる。MMFの入り口で左舷のフェンダーを舷外に下ろす。右舷前方の海面が上ったばかりの朝日を反射して眩しく輝いていたが、突如、その光の中から小型漁船が飛び出してきた。避航側は「阿武隈」だったが、漁船側が速度を落としてくれたので助かった。すみません。ありがとうございます。

    MMFのテトラポットを越して後方を警戒すると、薄汚れたフェンダーが漂っていた。おお、どこから流れてきたのだろう、拾っておけばよかったな、と思いつつ自分のバースに着岸してようやく、それが「阿武隈」のフェンダーだったことに気が付いた。

    0600、帰港。それからしばし朝寝して、下船。相模湾オープンレースに参戦する各艇に声をかけて、MMFをあとにした。

    強風の港で配線を修理する

    7月19日 日曜 曇り 南西の風17メートル(剱埼灯台観測値)

    0930ごろから動き出す。出港しないとなったら、とことんだらけた生活になる。マーボ丼とパックご飯をからめて朝食。

    きのう時間切れになった電装系の修理を行う。手持ちのデジタルテスターが電池切れで使えなかったので「みらい」の船長から借りる。バッテリーの電圧は問題なし。配電盤の電圧を図るが反応なし。配電盤がアウトか。

    念のため、配電盤とバッテリーを繋ぐ配線を追う。入り組んでいて手間がかかったが、メインスイッチに接続していた配電盤系端子が腐食して断線しているのを発見した。メインスイッチのカバーをはずし、端子を取りだし、コードの皮をむいて新鮮な芯線でリングをつくって端子に接続する。

    配電盤のメインスイッチをオンにしてキャビンライトのスイッチをひねると点灯した。両舷灯、マスト灯、船尾灯もOK。

    電装系の修理を午前中に片付け、「SnowLight」を訪れて、船内の改造(シンクに後付けした自作のチャートテーブルや精巧な戸棚の蓋、キャビンに内張りした木のパネルに驚く)や伊豆諸島巡航の話を聞いたあとは、キャビンで本を読んで過ごした。船で読むアーサーランサムはいいなあ。今すぐ海に出たくなる。

    昼食はレトルトのスパゲティ。「SnowLight」の船長からいただいた桃も食べる。実家の福島でないと味わえないほどとても美味しかった。ありがとうございました。夕食はレトルトのグリーンカレーとパックご飯。

    風は終日強く、風にあたっていると寒いぐらいだった。青空が広がり日が強く射すときもあったが、おおむね曇っていた。日没直後、曇りぞらの中から夕焼けが明るく輝く。

    1910、その夕焼けを見ながらこの記録を書いている。

    港で配線をチェックする

    7月18日 曇り時々雨 南西の風7メートル(剱埼灯台観測値)

    1000ごろから、ようやく動き出す。ブドウパンと紅茶で朝食。巡航を取り止めた反動か、きょうは昼寝の合間に作業をこなすような生活だった。

    きのうの夜に点かないことが分かった電装系をチェックする。セルモーターは回ってエンジンは始動する。回転数をあげるとChargeライトは消える。バッテリーとオルタネータの配線から分岐させているシガーアダプターに接続したインバータも使える。

    どうも、配電盤を経由する系統がダメらしい。配電盤をはずして裏面を見る。メインスイッチから各系統に分配されている。きのう少しだけ点いていた対水ノット計ライトは、配電盤のメインスイッチを経由しないで配線されていたので系統は別になる。が、こちらもいまは点かない。

    配電盤のヒューズは問題なし。ハーネスの途中にヒューズがあるのか調べている最中で時間切れ。また明日にしましょう。

    曇りぞらで、時おり雨が降り雨がやみ青空が見えてまた雨が降る。コックピットに天幕を張る。涼しくて過ごしやすい。キャビンとデッキを風が走る。

    MICSでは、伊豆大島沖で15メートル超を報じているが、神津島は10メートルにも届かない。明日の予報も伊豆大島だけが15メートル超で新島は8メートル程度だ。

    昼食は、水を少しだけ張ったパンにパックご飯をほぐして茹で、そこにレトルトのクリームシチューを加えた。調理時間は5分弱。味が薄かったので塩コショウを加える。

    そのあとは、昼寝の合間と作業の合間にブドウパンとスティックパンを食べていたので夜になっても満腹。たぶん、このまま何も食べず何もせずに寝てしまうだろう。

    1930、この記録を書いている。

    巡航前夜準備

    7月17日 金曜 曇り 南西の風4メートル(剱埼灯台観測値)

    2205、京急ウィングで三崎口に向かう。車内で水路通報を確認。小改正なし。航行警報をチェック。城ヶ島沖南西ブイは消灯中で仮灯がFl 3sで稼働。港湾工事情報を確認。式根島では工事なし。

    20日までの予想天気図を見る。土曜から日曜にかけて日本海を低気圧が発達しながら進む。20日は停滞前線が相模灘を横断する。60時間先までの風予報をチェック。土曜日午後から日曜日一杯まで南西の風が10〜15メートル。20日に風が落ちるが今度は北東から吹く。

    どーしたものか。

    0030、上船。航海計画書と出港届けをポストに投函する。キャビンに入ってライトを点けようとしたら点かない。あらら。スイッチを確認しても問題ない。バッテリーが上がったか?エンジンのセルモーターは回る。エンジンを始動してしばらく充電する。Chargeの警告灯がしばらくついたままだった。バッテリーに何か問題があるのか。ヒューズは異常なし。

    両舷灯、マスト灯、船尾灯、全部ダメ。キャビンライトも全部ダメ。コンパス灯が点いていたが、スイッチを切り替えているうちにつかなくなった。でも、エンジンは始動する。明るくなってから原因を調べるしかない。

    とりあえず、明日は出港できない。明日出港できないと言うことは、強風が終日吹き荒れるだろう明後日も出港できない。明後日出港できないと言うことは「式根島」にいけないということだ。

    だぁぁーっ。また断念か。今回は出港すらできなかったよ。

    ガスランタンをつけてこれを書いている。0130消灯予定。

    燃料と清水をチェックする

    7月12日 日曜 晴れ 南の風4メートル(剱埼灯台観測値)

     MMFへ行く前にシープラザKAZIに寄る。地下鉄で蒔田、蒔田から地下鉄で上大岡、上大岡から京急快特。おお、時間的にさほど変わらない。 MMFの帰りに寄るのもOKだ。

     インペラ、エンジンジング、パッキングを購入。エンジンジングカバーのパッキングはサーモスタット用を兼用するとのこと。エンジンオイルは来週半ばに入荷する。船の備蓄は1リットルで心もとない。ベルトも購入しようと思ったが、1GM用ベルトが型番違いで3種類あって、どれが適合するのか分からない。「阿武隈」で確認しておこう。予備ベルトが1つあるので慌てなくていいか。

     YBMでお世話になったJellyfishさんに偶然会う。YBMからMMFに回航する日に会ったとき以来だ。

    1330、上船。雲は多いが、梅雨明けを思わせるように爽やかで湿気も少ない。先週使ったオイルスキンがまだ湿っていたのでブームに干す。デッキシューズもほぐしたヤーンをブラシがわりにして海水で洗う。

     船内タンクに給油する。スチール缶から扱いやすいポリタンクに移し換えようとしたら、スチール缶の口から軽油が吹き出しデッキに流れ、そのままデッキのスカッパーから海面に流出した。すぐに液体洗剤を散布して油面を沈める。なにをやっているんだ。体が思うように動かない。

     デッキにこぼれた軽油を拭き取るために後甲板ロッカーに入れておいたアンカーやチェーン、ケーブルをデッキにあげる。拭き取ったあと、アンカーを収納し、アンカーケーブルをコイルしなおす。

     コックピットロッカーの中も整理する。テンダーとオールを取り出しやすいように上に積み替える。

     ポリタンクから船内タンクに給油するとすぐにいっぱいになった。2リットルも入れていない。「阿武隈」の燃料は船内タンクの20リットルとポリタンクの18リットル。

     つぎにフォクスルにあるポリタンクの清水をチェック。側面から日光を当てて水中浮遊物の有無を確認する。2つとも問題なし。蛇腹の10リットルタンクの中身も大丈夫だ。小分け用の3リットルタンクは苔が生えて使えない。つぎ来るときに2リットルの空きペットボトルを用意して代用しよう。

     持ってきたパックご飯9食分を「阿武隈」にデポ。次回補充が必要なのは、蚊取り線香を1箱、虫よけスプレーを1本、カセットガスを1セット、レトルトパック、缶詰をそれぞれ適当量。

     古くなったアンダーシャツを割いてスワブを作る。袖の部分は係船索の擦れ止めに使おう。擦れ止め用のスワブの1枚を舵頭に丸めて縛り付け、舵柄が下がらないようにした。オートパイロットのピンが固定できて外れなくなった。

     港についたときは曇り空で薄日が射す程度だったが、徐々に雲がとれて青空が広がり、日光が痛いほどに射してきた。風は南からわずかに吹く。出港しなかったので半袖半ズボンの船内服で作業をしていたが、ほんの1時間甲板で作業しただけで露出していた肌がヒリヒリする。

    1710下船。栄町からバスに乗って三崎口に向かう。

    雨が降って風が上がった

    7月5日 日曜 曇り時々雨 南の風 風力5(阿武隈独自基準)

    1245、出港。ジブセイルとフルメインの組み合わせで帆走。南からの風はそれほど強くない。南の風だが午前中はほとんど吹いていなかったおかげで海面はフラット。雲が全天を厚く覆って海は薄暗い。灰色の濃淡で描かれた風景画のようだ。

    艤装しているときに蒸し暑く、長袖化繊アンダーの上に半袖半ズボンという真夏仕様の航海服で海に出る。暑くもなく寒くもなくちょうどよかったが、1330、雨が降ってきたのでオイルスキン上下を羽織る。さすがに暑い。1400、風がほとんどなくなってますます暑くなった。えええい、脱いじゃおうか、と思ったとたんに、南風がドンと吹いて、あっという間に白波に囲まれた。

    ヒーブツーでメインセイルをワンポイントリーフする。西から来る波と南西から来る波が重なって三角波が至るところにたつ。甲板を波が洗い、時折、太い波を頭から被る。オイルスキンをたまたま着ていてよかった。

    1500、南西ブイから反転。右舷開きのクオーターリーで走る。見掛けの風が収まって穏やかな帆走になるが、南から押し寄せる波が船底をくぐるたびに、激しくローリングする。

    1600、MMF沖に到達。セイルを降ろしフェンダーと係船索をセットして、1620、帰港。南風が強かったので、最終アプローチまでスクリューを回す。着岸直前に後進いっぱい。いつものようにミジップを桟橋のクリートに掛けてひと安心していたら、南の風に左舷船首が押されてどんどん流れていった、いかーん。左舷のトゥーレールを掴んでなんとか引き寄せる。ミジップをもやったら、すぐに風上側ももやうこと。

    風が強いのでコックピットでセイルを畳む。解装を終えてデッキでひと休み。1730、下船。管理棟前で「SnowLight」の船長から車で送りましょうと声をかけていただいた。ジムニーで三崎口まで送ってもらう。とても助かりました。ありがとうございます。ジムニー、いいなー。