無風でうねる海を機走する
0230、目が覚める。ハッチから見える夜空に星が輝いていた。甲板に出て眺める。天頂から東にかけてクリア。西と南にモヤと薄雲がかかっている。夏の大三角はもう西に傾いていた。天頂で秋の星座のペガサスが駈ける。「阿武隈」のマストの右斜め上にいるか座がみえた。ペガサスからアンドロメダ、そしてその東側にスバルをみる。さらに、その東から二日後に太陽を食べる細い月が上ってきた。
そのまま夜明けまで甲板で過ごす。0400、ようやく周囲の景色が見えてきた。南の風がまだ残っている。帆をあげて出港しようか。ああ、でも帰港してから片付けるのが億劫だな、と迷っているうちにすっかり夜が明けて、風車が止まった。0500、MMFから2隻のパワーボートが出港した。そのあとを追いかけるように、セイルをセットしないまま「阿武隈」も出港する。
防波堤を超えると海はうねっていた。海面を引きずっている左舷のフェンダーを甲板に引き上げただけでそのまま三崎港に向かう。うらりに係留しているパワーボートやセイリングクルーザーはみな起きていた。出港していく船もある。岸壁も釣り人でもう一杯だ。
うらり、北条湾と回ってMMFにもどる。MMFの入り口で左舷のフェンダーを舷外に下ろす。右舷前方の海面が上ったばかりの朝日を反射して眩しく輝いていたが、突如、その光の中から小型漁船が飛び出してきた。避航側は「阿武隈」だったが、漁船側が速度を落としてくれたので助かった。すみません。ありがとうございます。
MMFのテトラポットを越して後方を警戒すると、薄汚れたフェンダーが漂っていた。おお、どこから流れてきたのだろう、拾っておけばよかったな、と思いつつ自分のバースに着岸してようやく、それが「阿武隈」のフェンダーだったことに気が付いた。
0600、帰港。それからしばし朝寝して、下船。相模湾オープンレースに参戦する各艇に声をかけて、MMFをあとにした。
2 件のコメント:
印象的な夜空の写真ですね。
浮かぶ月の形が、とってもいい感じです。
えむりさん、こんにちは。IIbです。
上ったばかりの下弦の月、沈む直前の上限の月は、空に浮かんだ船のように見えますよね。
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