阿武隈 twitter版

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    伊豆大島沖からMMFへ

    4月28日月曜 曇りのち晴れ 北東のち東の風 風力4のち5(阿武隈独自基準

     遠いが夜になっても入港できるMMFに戻ろう。長時間の航海になっても明日1日を休養にあてられる。1100、伊豆大島西方海域にて反転する。風は北東。クローズホールドで北上する。対地速度は3ノット前半から時々4ノット。MMFまで28海里だか、風はMMFの方角から吹いているので14時間かかるかもしれない。


    伊豆大島西方海域から反転する。くっそー

     ちょうどそんなときに、家族からメールが届いた。「晴れているから海は気持ちいいだろうね」 ああ、たしかにそうだ。暑くもなく寒くもなく、風が吹くと涼しくて心地よい。日没までに着かなくちゃ、とか、早く着かないと船を泊める場所がなくなってしまう、というあせる気持ちもない。到着時間を気にすることなく、ゆっくりと帆走で航海できることなんて、そうあることじゃない。道半ばにして不本意ながら引き返す航路だったけれど、エンジン全開で走っているときよりもストレスはかからなかった。

     間切りながら進む覚悟をしていたが、風がだんだん北東から東に変わっていって、右舷開きでも三浦半島を狙えるようになってきた。1600ごろからは風も募り、ジブとフルメインの組み合わせで4ノットから5ノット出せるようになった。思ったより早く着けるかもしれない。太陽が西に傾いて海は金色に輝く。1830、航海灯をつける。両舷灯の調子がよくない。コードの角度を手で変えて点灯させる。MMFまであと16海里。


    日が西に傾いてきた。まだ、相模湾の真ん中にいる

     しばらく進むと前方に緑色の光が見えた。剣埼灯台か。白、白、と2回光って、時間が空いてから緑が短く光る。緑が光るまで間が空く(白、6秒、白、18秒、緑、6秒)ので、1回見逃すと、城ヶ島灯台と間違えそうになる。ほどなく、剣埼灯台から左にやや離れて15秒周期で白灯が1回輝く城ヶ島灯台の光が見えた。船から10時の方向を見ると「短、短、長 長、短、短」(モールスの“D”を打っているので、周期として正しいのは直したほうになる)と光る城ヶ島南西ブイも確認できる。やった、帰ってこれた。

     日が沈むと辺りはどんどん暗くなってくる。城ヶ島灯台の背景には街明かりが輝いているが、剣埼灯台は暗闇の中で点滅を繰り返している。剣埼灯台のすぐ左脇に白灯4秒周期の安房埼灯台が光っている。城ヶ島東海域に西側からアプローチするとき、最も注意しなければならない灯台だ。MMFに近づくにつれて、遠洋漁業用無線アンテナ、ついでライトアップされた2つの風車を確認する。MMF入り口の赤灯標もかなり遠い距離から視認できた。その時点で1900。MMFから4海里ほどの海域だった。

     日が暮れてから風はどんどん上がって「阿武隈」の速度は6ノットを超えるようになってきた。このまま、MMFに向かえるかと思ったが、思いの外安房埼灯台に近づいていたのと、風が北に振れたのとで、MMFを目前にしてタック、MMFを背にして南下する。もうすぐ入港できると思っていたのに離れていくのはつらい。

     30分後、ちょっと早いと思ったがタックをしてMMFに向かって北上する。やはり、北に向かうタイミングが早すぎて危うく安房埼灯台の岩礁帯に突っ込むところだった。そこはいつも灯台から照射されていて波立っているのが見た目にも分かるのに、距離がつかめなかった。ざわめく波の音がはっきりと聞こえたので、かなり近づいていたように思う。

     タックで岩礁帯をかわし、再度タックで定置網があると思われる海域を避け、三崎港東入り口にある「三崎港東口第1号灯浮標」のわきでセールダウン。エンジンをかけたら無事始動した、が、まもなくアラームが鳴りはじめて止まらない。けたましい音をたてながら、すでに風車のライトアップも港内のサーチライトも消えてしまったMMFに帰港した。2100。

     さすがに疲れた。セールを固縛し、係船索とフェンダーを簡単に整理して、食事もとらずにそのまま寝てしまった。2200。

     帰港翌日は0730、起床。きのうの出港前に温めておいたパックご飯と缶詰、味噌汁で食事。船上と船内、セール、ポータブルトイレ処理を時間をかけて休み休み行う。空はスッキリと晴れて風は弱く、たまに吹くと涼しくて気持ちがいい。アラームの不具合を再生するため、エンジンを始動する。回転数を上げてしばらく運転してから回転数を下げる。なのに、アラームがならない。エンジンを止めて燃料を入れる。見込みでは7リットルほど入ると思ったが、意外にも10リットルも入った。1300、下船。まるよし食堂で昼飯を食べてモトラで帰る。

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