阿武隈 twitter版

    follow me on Twitter

    帆走でMMFを目指す

    9月9日 火曜 曇りのち晴れ 北東の風 風力6から5(阿武隈独自基準)
    未明に豪雨。1時間ほどでやんだが、風は朝までうなっていた。待っていた風だ。「阿武隈」のエンジンに不安があったので、この風を使って新島と大島、そして大島と三崎の長丁場を一気に帆走で渡るつもりだ。
    0430、起床。きょうは波が打ち付けるだろうから、上下ともカッパを着込む。荒天食のパンと缶スープとお湯を入れたポットをデッキにあげて、0500、出港する。
    港のなかでメインセールをあげる。ワンポイントリーフ。強い北東の風が吹く予報だったが、島に遮られて港口付近は風向が定まらない。しかし、新島北端の根浮崎をかわしたとたん、ドンと風を受けて「阿武隈」が大きく傾いだ。帆走の長い一日が始まった。
    新島から鵜渡根、利島の東岸を越して波浮を目指すレグは、風強く波高く、舞い上がるしぶきで濡れたセールが陽光に輝き、時おり頭から波を被るコンディションだったが、鵜渡根、利島を眺めながら豪快な帆走を楽しむ。晴れていたのが気持ちに幸いした。


    ぬれたセールが陽光で輝く。強風下のシングルハンド(オーパイ故障中)ゆえ、ラフのたるみは許してください


    鵜渡根沖を帆走中
     

    利島沖を帆走中

    風は北東より吹き、クローズホールドで北と東に進む。舳先を東に向けると南に大きく流され、北に向けるとわずかに西に流される。対地速度は北に進むと5ノット前半、東に進むと3ノット後半。
    波浮が近づくにつれて風が弱まってきた。メインセールのリーフを解除するが速度は下がり、「阿武隈」は西に流されていく。1300、ついに機帆走に切り替える。それでも東に向かうと対地速度は3ノット程度しかでない。
    1400、ようやく竜王埼を越えて北上を始める。速度は5ノット。予定では若郷からここまで4時間程度で到達するつもりだったが、すでに9時間が過ぎている。筆島沖に定置網らしきものを確認する。
    1500、風早埼正横。速度は5ノット。顔に当たる風がはっきりと感じられるようになってきた。試しに帆走に切り替えてみると対地速度が6ノット〜7ノットにはね上がった。機帆走より早い。迷わずエンジンを止めた。
    高い波に苦労した午前中の航海と違って、大島から北の海域は波も穏やかで、快適な帆走ですべるように走る。風もだんだん東に振れてきて、右舷開きで針路20度と、MMFを直接狙えるようになった。



    大島-三崎間を帆走中

    この日は視程がよく、三浦半島ばかりか、岩堂山の2つにぱっかりと分かれた特徴のある山容も遠くから視認できた。それからは、岩堂山を直接目指して「阿武隈」を操る。
    MMFまであと8海里というところで日没を迎えた。両色灯の調子が悪く点灯しないのではと不安だったが、無事点いてくれた。海が暗くなったとき、上弦の月が南中の空に輝いていた。バリエーションに富んだきょうの帆走、そして、波浮、神津島多幸湾、若郷と寄港した巡航の締めくくりは、月光のなかの静かな帆走だった。
    石堂山を直接狙って進めたはずなのに西に流されたらしく、最後の最後に逆潮の城ヶ島沖を3ノットでじりじりと進む。2000、サーチライトに照らされたMMFに帰港する。大急ぎでセールを片付けて、2100、下船。
    タクシーで三崎口駅に向かい、駅前のラーメン屋のサンマーメンと餃子とライスで無事の帰港を祝す。



    伊豆諸島9月巡航の締めくくりは月夜の帆走だった。逆潮で戻されて対地速度2ノットから3ノット。最後の最後でじりじりと東に進む

    0 件のコメント: