阿武隈 twitter版

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    神津島三浦漁港を目指す

    9月7日 日曜 晴れ 西の風 風力3 のち 1(阿武隈独自基準)

    0430起床。エンジンを動かす。アイドルから正常。警告音はない。もし、ここで警告音がなったら波浮に停滞して、翌日吹くはずの8〜10メートルの風でMMFに帆走するつもりでいた。予定通り、神津島に向かう。

    0530 出港。。アンカーは無事に上がってきた。ギャラリーのいない作業はうまくいく。風はほとんどない。港内でメインセールをあげる。機帆走で針路205度。新島の東岸を進んで早島で転針する予定だ。

    視程はあまりなく、波浮から利島が見えない。0600、パックご飯と鮭缶で朝ごはん。食べ終わったころ、利島の頂上が見えてきた。

    0930 利島正横。この辺りから南西の風が吹いてきた。ジブをあげてみようか。お、なかなかいいかもしれない。エンジンの回転数を落としてみよう。っと、ここで警告音が鳴り響いた。回転数をあげても止まらない。4月の巡航と同じことになった。

    サーモスタットをはずしても警告音がなるということは、シリンダブロック内部の冷却水流路が詰まっているということか。ならば回転数を下げると鳴るのはなぜだ。

    また、神津島をあきらめるのか。針路を240度に変えて若郷を目指す。鵜渡根と新島の水道に入ったら西の風が吹いていた。ぎりぎりクローズホルードでいける。どうせ目の前の若郷に入るのでそろそろと帆走していこう。

    警告音がなりっぱなしのエンジンを止める。速度は2ノットから3ノット程度。ところが少しずつ風が上がってきて4ノットを超えるようになってきた。この時点で1000。残航程は23海里。お、いけるんじゃないのか。4ノットで6時間。日没2時間前に入港できる。3ノットまで落ちたら野伏漁港に入ればいい。一気に気分がよくなってきた。

    帆走で鵜渡根を過ぎるとき、鈍く重いうなりが聞こえてきた。波が打ち付ける音だ。機走では気が付かないかもしれない。



    鵜渡根のすぐ脇を帆走でぬける。遠くから鵜渡根に打ち付ける波の音が、風の音に隠れてかすかに聞こえる


    鵜渡根と新島の水道を抜けたと同時に風がなくなった。まったくなくなった。やはりだめか。若郷に入ろう。ジブを下ろし、エンジンをかけ、もやいを用意する。すべての作業がおわったとき、警告音がやんだ。回転数は低いままだ。

    賢明な判断はこのまま若郷に入ることだ。しかし、私は迷った。これで戻ったら今年の巡航で3回連続になる。とはいえ、無謀ではいけない。自分に都合のいい解釈もしてはならない。排水の量をチェック。排気もチェック。シリンダブロックの温度も(グローブをはめた手で触って)チェック。いつもと同じだ。

    よし、神津島に行こう。針路230度で地内島をかわし、針路180度で祇苗島を目指す。新島西岸で6ノットを超える。ためしに北へ進むと3ノット。南へ向かう潮が「阿武隈」を押している。きょうの下り坂は明日の上り坂。

    式根島の北端を過ぎる。式根島の西側を見るのは初めてだ。表とはまったく別な裏の顔を持つ。式根島を過ぎたら3ノットに下がった。北に向かうと6ノット。

    祇苗島はすごい形相だった。神津島に付属する島で有名なのは西にある恩馳島だが、祇苗島も想像していた以上の姿だった。航法的にも北から三浦漁港にアプローチするときの起点となる重要なポイントだ。神津島を訪れる航海記録で語る人が少ないのが不思議だ。



    祇苗島は南北2つの島と周囲の岩礁で神津島の東を守る

    祇苗島南端を交わしてようやく岬に隠れていた三浦漁港とその右側に白くそびえる天上山の大崩落がみえてきた。

    三浦漁港の景観は舵社が出版していたハーバーガイドに示されていた図版と大分異なっていた。入港口にある岸壁は南側が陸につながって閉じている。東海汽船用の突提には作業船が係留していて状況が確認できない。でも、丸島の姿はよく見える。

    南端が閉じた外防波堤を越えると内側に広い静水面ができていた。奥は海水浴場になっているようだ。内防波堤と丸島周辺も海水浴場になって、人が遊泳しているのが見えた。丸島の左側に見える灯台をくぐって内港に入る。入って右にある岸壁に槍付けする。

    1400入港。きょうは、段取りよく槍付けができた。三浦漁港の岸壁は高くて難儀すると報告されているが、岸壁の壁面に係留用のリングが打ってあった。



    三浦漁港北側岸壁に「阿武隈」を係留する。背の高い岸壁だが壁面にリングが打ち込んであった

    岸壁に移ってもやいを固定していたら、海底に黒い岩のようなものが見えた。ゴロタ石と思ったら、モゾモゾ動き出した。エイだ。丸い絨毯のような大きなエイが泳いでいた。

    係留後、エンジンのビルジを排出し、エンジンをかける。入港作業から警告音が止まった。原因不明のまま。センサーの異常か。オーバーヒートで抱きつきを起こさないように、下限に近かったエンジンオイルを交換する。

    すべての作業を終えて上陸。三浦漁港を出る最終バスは1530で行ってしまった。客船待合室で自販機の冷えたジュースを飲み、海水浴客用の水シャワーで体を洗い、パックご飯とレトルト中華丼とミカン缶で神津島上陸を祝す。

    三浦漁港から見る天上山大崩落。係留している「阿武隈」と比較すれば、その雄大さが分かるだろうか。これを見るために「阿武隈」は神津島に来た

    夜になって天上山の向こう側で稲妻が光る。晴れているので花火かと思っていたら、冷たい北風が音をたてて突然吹き込んできた。雷雨になるのだろうか。明日の航路と出港作業のチェックリストをホワイトボードに転記して、2000にこれを書いている。

    できて送稿しようとしたら圏外で不可。三浦漁港の岸壁で使えたのはmovaだけだった。auとsoftbankはアウト。FOMAは持っていないので分からない。明日の出港は0530の予定。

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