最後の最後で乗り上げた
10月4日 日曜 晴れ 南の風、風力1(阿武隈独自基準)
0930、自宅出発。1030、三浦海岸駅着。バスが出るまで少し時間がある。京急ストアで鶏モモ肉のブロックと見切り品のブドウパンを買う。1130、「阿武隈」上船。メインセイルだけセットして1200出港する。
機帆走で三浦半島西岸を北上しつつ、江ノ島を目指す。恥ずかしながら、「阿武隈」は小網代の赤白ブイから北に行ったことがない。江ノ島を海から見たこともなければ。葉山、逗子、佐島も沖合いから見たことがない。城ヶ島や南西ブイのあたりから北を眺めたときに、2つに割れた岩のように見えるのはたぶん江ノ島、と思いながら自分の目で見たことがなかった。きょうはそれを自分の目で確かめて「スッキリ」したい。
城ヶ島から針路330度で北上する。参考図が三浦半島西岸が秋谷海岸で分かれているので、城ヶ島から江ノ島をダイレクトで狙う航海では使いにくい。
MMFから30分ほどで諸磯湾入り口の白灯台を右正横に見る。沖合いに出ているおかげで周りに「動いている」船はいない。海面がフラットなので、ここで鶏肉を焼いてしまおう。
最初、コンロを甲板に出して調理しようとしたが全然加熱できず。ギャレーにコンロを戻し、甲板とギャレーを行き来しつつ塩をふっただけの鶏肉を焼く。ブロック肉だったので、中まで火が通らない。飲みかけのほうじ茶を注いでゆでる。調理開始から10分ほどで完成した。投入したほうじ茶は鶏肉の味に影響せず。
1400、逗子マリーナのマンション群を右正横に見る。2つに割れた岩のように見えていたのは、やっぱり江ノ島だった。
スッキリしたところで反転する。三浦半島西岸にある「顕著な陸標」を確認しながら南下する。久里浜発電所の三本煙突も見えるんだ。ほー。
1530、三崎港港内でセイルダウン。城ヶ島大橋の西海域、航路の真ん中でウェークボードに興じるパワーボートあり。城ヶ島大橋をくぐって「みさき第2ブイ」の近くで係船索とフェンダーをセットする。あとはMMFに帰港するだけだ。
パワーボートが東から入港してきた。ブイの外側(南側)に避けて航路を開ける。デッドスローで、パワーボートが通りすぎるのを待つ、と、ドッシンという音とともに、ゴリゴリゴリという感触が甲板から尻に伝わり、船体がグッと浮き上がったと思ったらわずかに傾いた。いかーーん、航路外の岩礁に乗り上げた。機関中立、後進微速、すぐに機関中立。デッドスローだったのが幸いした。
「阿武隈」は停止した。船体が浮いたように感じて傾いたということはキールで立っている状態か。金属異音はしなかったのでリグとスクリューは無事だろうか。
後進微速、異音なし。そのまま回転数をあげる。「阿武隈」が動き出した、おお、助かった、と思ったとたん、また、ゴリゴリという感触とともに船体が浮き上がった。ちょうどそのとき、すぐ脇を通りすぎていったパワーボートの引き波が阿武隈に到達した。とたんに波に翻弄された「阿武隈」は、右舷にぐぐぅーと傾斜していった。やっばいぃぃぃー。「阿武隈」は、どうにか持ちこたえて、左舷にちょっと傾いた状態で停止した。
船内に浸水の兆しはない。キールボルトの周りは亀裂も漏水もボルトの緩みもない。速度がほとんど出ていなかったのが幸いした。
さっきは後進して引っ掛かったので、今度は前進してみる。ダメージを与えないように微速前進。ごりっ、という感触とともに「阿武隈」が動いた。取りかじ一杯で「阿武隈」が回頭する。舵中央でそのまま前進微速。そろそろと「阿武隈」が進む。よかったー。離礁できた。キールボルトからの漏水はなし。なんとか大丈夫か。
1610、MMF帰港。解装して来週接近する台風18号に備えて荒天準備をする。ブームを下ろしてメインシートで固定する。ブームキッカーは、ブームバンクで固定した。
1710、下船。SnowLightの船長に三崎口まで送っていただく。ありがとうございました。京急の右窓に十六夜の月を眺めながら横浜に帰る。
10 件のコメント:
なにごともなく良かったですね。
三崎港内でそんな浅いところがあるんですね。
航路から外れるのは本当にヤバイですね。
進路を譲って航路外に出るくらいなら、行き過ぎてくれるのを待ったほうがいいと思います。
阿武隈様
同じ東京湾でヨットに乗っております「Stella」と申します。
オンザロックをしたとの記事が気になり拝見させていただきました。
目視する限り異常は無いと言う事ですが、記事を読むと案山子状態に二度ほどなっています。出来れば一度専門家に診て頂く事を奨めます。
ご存知かどうか知りませんが、あの「タカ号の遭難」のタカ号も過去にオンザロックを経験しています。その時のストレスが原因でキールが折れてあの事件を起こしてしまった可能性が高いと言われています。もちろんそれまではキール付近に一切の異常はなかったということです。
是非、安全の為に多少の費用がかかっても自己判断せず専門家に依頼してください。
お節介かもしれませんが同じヨットを愛する方が少しでも危険な目に遭って欲しくないからです。気に障りましたらお許しください。
たまちゃん、こんにちは。IIbです。
いや、まったく。航路の外にでたのが敗因です。
三崎港の東側港口は結構岩場が多いんですよね。いつも、航路の外は危ないと思ってみていたのに、ブイのすぐ近くなら大丈夫と油断しました。
Stellaさん、はじめまして。「阿武隈」のIIbです。
(ひょっとして、TeamStellaのStellaさんですか?)
ご心配いただきましてありがとうございます。わたしも、岩場に乗り上げたときに頭に浮かんだのが「マリンマリン」号のキール脱落事故でした。
アマチュアの生半可な自己判断ほど危ういものはないと思っていますので、「阿武隈」も一度上架して造船所に確認してもらう予定です。
阿武隈さん
キールを修理したことがあります。
ちょうど2年前、台風の荒天対策で当時陸置きの船台の自艇を移動してもらいました時、キールが左右3、4センチ動くことが判明しました。
それまで、船底を何度も見たことがありましたが、亀裂も何もありません。購入してまだ2ヶ月足らず。
結局、ボルトを締め上げ、船底内側の張りを2本張替え、FRPを流し込んで修理しました。この作業約1ヶ月、25万かかりました。
こんな大事には至ってないことをお祈りします。
IIbさま
はい、TeamStellaのスキッパーをしていますIと申します。
上架して検査をするとのこと安心しました。
危険性を認識していらっしゃったようなのでいらぬお節介になってしまったのではないかと危惧していました。しかしキールの脱落は一瞬で船が沈没してしまい命に直結します。ついついコメントを入れさせてしまいました。ご容赦ください。
今後ともご自身と共に愛艇をご自愛の上、安全なセイリングをお祈りします。
それでは失礼します。
オンザロック、いやですね。
以前、オセアン22に乗って西伊豆仁科港の入口でやったことがあります。
ガツン…と云って、通過しちゃったのですが、心配で港で潜って調べたりしました。
Teamstellaのlスキッパー、こんにちは。IIbです。
やはりそうでしたか。先代「阿武隈」がマイレディだったので、艤装の話は興味深く読みました。
上架の予算調達が当面の障害でありますが、できるだけ早い時期に行う予定です。今年上げたばかりだったのになー。
サムシング田中さん、こんにちは。IIbです。
自分はオンザロックしないぞ、と力んでいたりもしましたが、やっぱり、やってしまいました。
今思うと、やっぱり「自分だけは」という油断がすべてでしたね。
「そなえよつねに」(応用範囲が広いこの標語)で、これからは注意して乗るようにします(と右腕を直角に掲げ3本指で誓う)。
俊介さん、こんにちは。IIbです。
に、にじゅうごまんえん。
エンジン換装の家庭内借金をようやく返し終えた私には天文学的数字。
キールボルトが緩んでいなくても、衝撃でゆがんでぐらつくことはありえますよねー。
うひー。
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