阿武隈 twitter版

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    月齢9.8の海を帆走する

    2月16日 土曜 晴れ 風力5(阿武隈独自基準)

     週間気圧予想を見ると、16日と17日は冬型で安定するものの、等圧線の間隔が広がっているようだった。なので、その週末を使って伊豆諸島を巡航するつもりでいた。金曜の夜に上船して未明に出港、式根島野伏漁港に1600までに入港する計画を立てたが、やはりというか、くそったれというか、金曜日のうちに三崎へたどり着ける時間には帰れなかった。

     土曜の日中に、もろもろ残っていた用事を済ませて、1500、自宅を出発。MMFに着いたのは1730になっていた。日は落ちて港は薄暗い。翌朝早く出港するつもりで艤装作業をすすめていたら、船体が月光に照らされて青白い。上空を見ると月がちょうど天頂にさしかかっていた。


    夕闇の海に浮かぶ伊豆大島


    今回はいろいろ機材を持ち込んだので荷物が多かった。モトラで助かった

     空に雲はなく風はほどよい。月に照らされた海を帆走りたくなった。1830、艤装を終えた「阿武隈」は、そのまま出港した。ライトアップされた風車と港内の街灯、そして、やたらと明るい月の光のおかげで視界が利く。港から出てすぐの海域には、航路を示すブイや、漁師が浮かべた仕掛けが多数遊弋しているが、それもよく見える。出港してすぐにセールアップ。久しぶりの夜間航海なので、大事をとって1ポイントリーフを入れたメインセールだけにする。

     機関を停めて、左舷後方から風を受けて南東に帆走する。いたって静か。ジャイブを繰り返してさらに南に進む。月明かりのおかげで海の状況は把握できる。伊豆大島や伊豆半島も視認できる。城ヶ島を越してさらに南に進む。

     どこまで行こうか。城ヶ島をぐるりと回るか、それとも南西ブイまで足を伸ばすか。本船航路を超えて、オーバーナイトで伊豆大島を回ってこようかとも思い始めたころ、西の空から黒い、それでいて変に薄い雲が急にわいてきた。雲はどんどん増えてきて、天頂付近にある月を隠すまでになった。夜のせいかもしれないが、薄くて黒く、そして急激に増えてくる雲にいやなものを感じた。1930、反転して帰路に着く。


    両色灯は依然として調子が悪い。コードの接触が思わしくないようだ


    夜間航海でまともに撮影できたためしがない

     メインセールを上げていたけれど、思うように風上に向かえない。海が荒れる前にセールを降ろして港に戻りたい。機関を動かして機帆走で北上させた。操船の自由を確保するためには、やはりヘッドセールが必要だ。

     ライトアップされている風車に向かって進む。風車の下に灯火が明滅している。左(西)から赤、黄、赤、黄と並ぶ。港口の両脇には青、赤の灯標がある。その灯標の間にライトアップされている風車が収まっていれば、船は入港する航路の上にいることになる。が、青灯が見えない。黄灯は定置網の境界を示すブイだ。2つ並んだ赤灯のうち、左の赤は、MMFの内防波堤西端にある灯標で、右(東)は東側外防波堤の先端を示す。ということは、「(そのうち見えてくる)青、赤、赤、黄、黄」と並べばいい。

     灯火がそのように並ぶまで船を心持ち西に向けて、進む(あまり西に進みすぎると安房埼灯台の近くにある洗岩に乗り上げるので注意。安房埼灯台からその海域を照射しているし、海が波立っているので見張りをしていれば分かる)。そのうちMMFの西側外防波堤の先端を示す青灯が確認できた。MMFの外防波堤はテトラポットで囲まれているので近づくと危ない。青灯と赤灯の真ん中を進むようにする。漁師が仕掛けた網の梵天がすぐ横を過ぎていく。

     MMFに入港したと同時に風車のライトアップが消えた。完全に照明がなくなった状態でMMFに帰港するのは初めてだった。折りしも雲で月も隠れてしまった。真っ暗で訳が分からなくなると思いきや、街灯の明かりで港内が視認できた。2020、帰港。

     セールをブームにまとめて、夕食を作り始める。スライスしたタマネギと鶏肉のブロックを煮る。塩と胡椒をまぶして半日冷やしておいただけなのに、味がしみておいしかった。PSPに保存しておいた映画を楽しんで、2400、就寝。


    塩コショウをふって半日冷やしておいた鶏肉のブロックとスライスしたタマネギがきょうの夕食


    プロパンをまだ充填していないので、カセットガスコンロで煮る


    いつもながらに見た目はひどいが、味はよろしかった




    帰港したら、また晴れてきた。月の光で港は明るい

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